損害保険ジャパンが企業向け保険料を他の大手損保と事前調整した問題で、独禁法違反の疑いのある件数を金融庁に過少申告していたことが17日までに、分かった。弁護士らでつくる社外調査委員会の報告書で判明した。金融庁の報告徴求命令に対し、悪質性の低い区分に変更するなどして申告していた。
 保険料調整問題は東急グループ向けの保険契約で発覚した。金融庁は昨年、保険業法に基づき損保ジャパンなど大手損保4社を対象に報告命令を出し、調整行為の実態を報告するよう要請。(1)独禁法に抵触する恐れのある行為(2)抵触しないと考えられるが不適切な行為(3)その他―の3区分にして報告するよう求めた。
 調査委によると、金融庁への報告について、弁護士が独禁法に抵触する疑いがある事例を指摘したものの、法務・コンプライアンス部が経営陣の意向を踏まえ、より悪質性の低い区分に変更した。調査委は「経営陣が専門家の意見に耳を傾け、あるべき姿を模索しなかった」と批判した。
 役員アンケートを社内の担当者らが、回答内容を一部削除するなどして金融庁に提出していたことも判明。調査委は「事案を小さく見せる方向で、改変された」と指摘した。
 報告書では、125の営業店のうち約8割で不適切な調整があったと分析。経営陣が独禁法違反疑いのある事例に関与したことも明らかにした。
 また、企業の従業員が加入できる「団体扱保険」でも、199社との取引で割引率などに関する不適切行為を行っていたと分析。調査委は「独禁法違反と考えられる」との見解を示した。 

(ニュース提供元:時事通信社)