欧米と日本で新型コロナ危機対応のスピードに差(写真:写真AC)

■パンデミックに見る危機対応の教訓

今回より「マルチハザードBCP」の連載を始めます。マルチハザードの意味や従来のBCPとの違いなどについてはこれから詳しくご紹介していきますが、その前に「これからのBCPのあり方」について、筆者の考えをお伝えしておきたいと思います。

行動スタイルは国によって違う(写真:写真AC)

国(あるいは人種)によって行動スタイルが異なることを言い表した諺に「イギリス人は歩きながら考える」「フランス人は考えた後で走り出す」というものがあります。日本人の場合はどのように表現できるでしょうか。このあたり、今まさに危機対応のクライマックスを迎えている新型コロナウイルスへの対応を例に、欧米と日本を比べながら考えてみましょう。

欧米では予想以上に対応が早かった(写真:写真AC)

新型コロナウイルスが拡散しはじめた頃、欧米(イギリスとアメリカを例に)では、かなりのんびり構えていたように思いますが、自国内で感染爆発が起こった後は予想以上に対応がスピーディでした。強制的なロックダウンによるメリハリのある人流抑制、本来10年はかかると言われているワクチン開発を1年で達成、今では信じられないようなスピードでワクチン接種人口の拡充をはかっています。

一方、日本では当初、海外に比べると国内の感染者数が非常に少なかったこともあって、うまく感染が抑え込まれていると判断し、十分な収束の兆しが見えない中で緊急事態宣言を解除して経済再開に転じました。

しかしその後(感染急拡大以降)の状況は悩ましい限りです。強制力をともなわない国民頼みの緊急事態宣言とワクチン導入の遅れ、より強力な変異ウイルスの蔓延も手伝って、新型コロナ流行の抑え込みの道のりは長く、東京五輪開催も危ぶまれている状況です。
https://www.bbc.com/news/uk-politics-56361599他を参照