2017/06/20
防災・危機管理ニュース
政府は16日、「防災に関してとった措置の概況 平成29年度の防災に関する計画」(防災白書)を閣議決定し国会に提出した。今年度の白書では2016年の熊本地震での教訓が多く盛り込まれたほか、被災企業の事業継続への取り組みも記載されている。また大企業と中堅企業のBCP(事業継続計画)策定状況では中堅企業では大企業の半分である約3割にとどまっていることも指摘している。
熊本県内の被災地域企業アンケートでは、回答1225社のうち、「被害あり」は79.8%に上った。一方で被害を受けたと回答した1002社の営業再開時期は「停止していない」が52.8%、「地震後1週間以内」が27.9%と大部分は停止しないか、停止しても短期で再開できたとしている。
一方で地震直後の2016年4~6月の売上高については、被害を受けたと回答した1002社は「20%超減少」が29%、「10~20%減少」「1~10%減少」がともに16%と約6割が減少したと回答。被害なしもしくは不明の199社は「ほとんど変化なし」が52%だった。同年10~12月になると被害あり企業も「ほとんど変化なし」34%、「1~10%増加」16%と持ち直している。
BCPでは都道府県の策定率は2016年4月の段階で100%だが、市町村では「策定済み」は42%にとどまる。民間企業は2015年度の段階で大企業は861社のうち「策定済み」は60.4%、「策定中」は15.0%、「策定を予定している」16.4%。中堅企業は556社のうち「策定済み」は29.9%、「策定中」は12.1%。「策定を予定している」が30.2%ある一方で「予定はない」18.3%、「BCPが何かを知らない」も7.0%あった。
■平成29年版防災白書
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/pdf/H29_honbun.pdf
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方