2020/04/17
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
2. 親戚や友人の家などへの避難の検討
(内閣府 4月7日「避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応について」から)
親戚や友人宅に行くことは、以前から勧められていましたが、国の通達で改めて避難所以外の選択として、親戚、友人宅の周知が挙げられています。
とはいえ、新型コロナウイルスの感染が心配なので高齢者がいる家には行けない、子どもがいる友人宅にも行きにくいなど、今まで以上に選択肢が狭くなっています。周知ができても、行けない、行かないという人も出てくるのではと思います。
ガイドでも
・感染を恐れて被災した自宅で生活する人が多数出る
・感染を恐れて、車避難する人がさらに増える
・可能であれば、トレーラーハウスの活用や、国有地で活用できるところ(財務省でピックアップして都道府県には情報提供されている)で応急的な施設を建設して活用することも考えられる
・ニュージーランドではキャンピングカーを自己隔離用に設置(ニュージーランドのコロナウイルスに関する現状 17)
(ガイドから)
などの指摘があります。
3. 自宅療養者などの避難の検討
(内閣府 4月7日「避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応について」から)
この文言から分かるように、まだ具体的な対策は検討されていない状況です。
しかし、ここは、相当大変な問題があると思ってください。
自宅療養者であっても、津波が来たら避難しなければいけません。しかし、自宅療養者が避難すれば、感染を拡大することになります。かといって発熱等のため、動けず避難できないということになれば、津波の犠牲者になってしまいます。津波浸水が予想されている所に自宅がある場合は、そこでは療養させないという方針が本当は必要なのです。
また、土砂災害警戒区域、豪雨で浸水が想定される場所で自宅療養する人も、同様です。これから出水期を迎えます。自宅療養者を水没危険地域で療養させないという方針がないのは、過去の災害の教訓を生かしていないことになります。新型コロナウイルス対策は、感染症関連部署のみで対策するのではなく、防災部門も一緒に対策をとっていければと思います。いざ災害が起こった時、想定外と言ってごまかさないためにも、国の方針にあるように、「保健福祉部局と十分に連携の上で、適切な対応を事前に検討すること」がどれだけ重要かわかっていただけると嬉しいです。
ぜひ、自治体の今後の方針に盛り込んでいただきたいです。
ガイドでも
・自然災害の危険性の高い地域に居住している場合、災害発生前に可能な限り被災危険度を 下げる(想定浸水域・土砂災害危険区域の場合は区域外に転居あるいは出水期前、早い時期から一時退避) ・自然災害の危険性の高い地域からの事前の全員転居あるいは退避は不可能と思われるので、発災直前・直後の避難計画、避難所運営計画、生活再建支援計画を策定しておく
(ガイドから)
と記載されています。

また、次の点も重要です。
(ガイドから)
今まで、避難所は被災された皆さまの努力でトラブルに対応してこられました。でも、新型コロナウイルス対応に追われている医療関係者への心ない中傷を見ていると、今まで以上に避難所が殺伐としてしまうのではないかと心配しています。
それゆえガイドにも
(ガイドから)
と書かれています。とはいえ、日常でできないことは災害時はもっとできなくなるので、災害対応に当たる方は、普段でもこのような差別や排斥につながらないように意識しておかないと、避難所運営だけうまくいくわけがありません。どうか、地域での差別が起こらないように日常でもご尽力していただければと思います。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方