■消火器 

最も身近で一般的な消火方法が消火器による消火活動であるが、とても重要なことをまず伝えよう。消火器はあくまでも初期消火のみでしか有効ではないということだ。もし火炎が天井の高さまで達しているような状況では逃げ遅れて二次災害を被ることになるので、絶対に消火活動を行ってはならない。次に重要なポイントは燃えている物質に対し適合する消火器を選択しなければならないということである。

消火器には大きく区別すると4つのタイプがある。

•水
•ドライケミカル
•二酸化炭素
•特殊消火器 


それぞれの特徴については下記表を参照されたい。

※クラスK火災とは、調理用油の火災を指す。植物性または動物性脂肪など、極度の高温で燃焼する可燃性食用油などを含んでおり、業務用施設の調理設備に多く見られるが、一般家庭にも当然存在しているもの。「キッチンの調理油ってクラスBの可燃性液体の火災とどう違うのですか!?」との声が聞こえてきそうだが、燃焼のメカニズムや消火原理の違いにより、あえて違う種類の火災に分類されている。B火災用の消火器で消火したつもりでも再燃する危険性があるので、K火災専用の消火器(ウェットケミカル)でしっかりと蒸気抑制と窒息効果の理論で消火しなければならない。

消火器のラベル例

消火器には火災種別に応じた能力がラベルされている。例えばクラスA火災では1A-40Aのような表示があるが、数字が高いほど消火能力は高いということである。

また他にも放射距離や放射時間などの細かい情報がラベルされているので是非、ご自宅や会社に設置してある消火器を手にとって確認してほしい。

【5秒ルール】

消火器の使用方法についてはPASS法を覚えてほしい。P(Pull:ピンを抜く)、A(Aim:目標を狙う)、S(Squeeze:レバーを握る)、S(Sweep:火の根元を掃くように)と、このような要領で使用すればよいのだが、あくまでも下記の条件を満たしている時だけ使用可能であるということを肝に銘じておかなければならない。

•最低でも2カ所以上の退路が確保されているとき。
•火災に適合している消火器があるとき。
•消火能力を十分に満たしているとき。
•他に危険物質や落下物などの危険要因がないとき。


消火活動を始める前に、これらの条件をすべて満たしているかどうか自分自身に質問してから行動しよう。1つでもNOの答えがある場合、または5秒間消火して鎮火しない場合は、すべてのドアを閉めて、素早く建物から退避しよう。

【残火処理作業】

5秒以内に鎮火に成功した後で、現場の安全が確認できた後は残火処理作業に移る。残火処理作業(オーバーホール作業)とは隠れた火元を捜索するためのプロセスで「冷やす・浸す・分離する」の要領で行う。つまり再燃する可能性のある残り火や火の粉を探し、発見したら水で冷やし完全に消火させたり、(燃焼物の大きさと状態から水をかけるよりも)水の入った容器に浸したり、あるいはマットレスやベッドのシーツなどは外部で容易かつ完全に消火できる場所へ運び出し、分離し消火させるということである。この際、証拠保全と水損防止も考慮に入れて作業にあたらなくてはならない。