2012/09/25
誌面情報 vol33
日産自動車では、東日本大震災で国内工場および多くのサプライヤーが被災。海外向けの部品供給など、国 内外の物流が一時中断に追い込まれたが、関連会社、サプライヤー、海外工場が連携することで、中断からわずか 5 日で国内外の輸出入の業務を再開。震災から3カ月後の6月半ばには、日本から海外への輸出サプ ライチェーンを正常化し、海外の生産影響を最小限にとどめた。
■海外生産を優先
日産では、国内工場で生産したエンジンやトラン スミッションといったパーツに加え、数多くの部品 を海外工場の生産向けに輸出している。そのため、 国内の工場や部品サプライヤーが被災してしまう と、現地工場での生産に必要な多くの部品の供給が 途絶えてしまうため、世界各地の自動車生産に甚大 な影響を及ぼす。
東日本大震災では、 国内生産の再開だけではなく、海外の生産への影響を防ぐことを優先に、全社体制 で輸出の再開に向けて動いた。
まず、国内における輸出入業務を担う SCM 本部部品物流部では、すぐに供給を再開できるように同 社の輸出拠点の要である本牧事業所(横浜市)に災 害対策本部を設置し、 現場担当の部品物流部に加え、 本社から購買部門、生産管理部門のメンバー約 20名を常駐させた。
総力でサプライヤーの被災状況を確認するとともに、復旧させる部品の優先順位づけを行った。一方、 購買部門では代替サプライヤーとの調整などに動いた。
誌面情報 vol33の他の記事
- 物流を止めない。未納部品は後から空輸
- 需要の予測で安定供給
- 特別寄稿 新型インフルエンザ等対策特別措置法の概要
- 【緊急地震速報】 新幹線早期地震検知システム
- 直下地震の課題克服
おすすめ記事
-
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/04
-
-
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方