梅雨入り! 雨が気になる季節になってきました。

ウェザーニュースのサイトでは、西日本で雨が多めで、九州では大雨という予報も。

http://weathernews.jp/s/topics/201605/200005/

平成26年広島豪雨災害、平成27年関東・東北豪雨災害と、立て続けに豪雨災害も起こっていますし、熊本地震では土砂災害もありました。地震と豪雨災害が重なることは、もう想定外ではすまされない昨今です。

それなのに!それなのに!

避難袋の中には、100均で買ったレインウェアだけなんていう人はいませんか?

2003年からアウトドア用レインウェア(透湿防水素材)の日常使いで災害対策を!と講演してきたので、災害現場入りする政治家のみなさんや報道関係の方の服装をウォッチしていました。

東日本大震災を機に報道関係の方は、がらりと変わりましたよ!

今後、雨の中継があったら、ぜひ、キャスターのレインウェアに注目してみてください。ほぼほぼみなさんアウトドア用ですから!

おそらく・・ですが、現場に入って、これでなければと実感されたからではないかと思うのです。

何がそんなに、100均のものと違うかというと、アウトドアの世界では、雨に濡れると命に直結するので、レインウェアは最重要装備なのです。

濡れると、人は体温をつかって乾かそうとします。そうすると水が気化する際、気化熱によってまわりの熱を奪います。結果、体温がどんどん下がります。恒温動物である人は、直腸温が35度以下になると、生命を維持するのが難しくなり低体温症になります。低体温症は、あっという間に人が死んでしまう・・そんなイメージが山を知っている人には強くあります。

たとえば、

2009年トムラウシ山遭難事故の事故調査報告書
http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf

凍傷に詳しく登山家でもある 金田正樹医師の低体温症の報告書。P48からは、登山に興味がある人だけでなく、広く、災害救助にあたる方にも知っておいてほしい情報満載です!

金田 正樹

1946年、秋田県生まれ。1971年、岩手医科大学卒業。整形外科医として、秋田大学整形外科、関東逓信病院、聖マリアンナ医科大学東横病院を経て、現在、向島リハビリクリニックセンター長。登山は高校時代からはじめ、1969年、西部ヒンズークシュ無名峰初登頂、70年、中部ヒンズークシュ無名峰初登頂などの記録を持ち、73年、第2次RCCエベレスト登山隊にドクターとして参加。海外の災害救援も、85年のメキシコ地震、90年のアフガン紛争、91年の湾岸戦争、96年のバングラデシュ竜巻災害、02年イラク戦争などの医療支援に当たる。NPO災害人道医療支援会理事

 

以下、「2009年トムラウシ山遭難事故の事故調査報告書」から引用

[体温変化とそれぞれの症状]

36 ℃
寒さを感じる。寒けがする。

35 ℃
手の細かい動きができない。皮膚感覚が麻痺したようになる。しだいに震えが始まってくる。歩行が遅れがちになる。

35 ~ 34 ℃
歩行は遅く、よろめくようになる。筋力の低下を感じる。震えが激しくなる。口ごもるような会話になり、時に意味不明の言葉を発する。無関心な表情をする。眠そうにする。軽度の錯乱状態になることがある。判断力が鈍る。
*山ではここまで。これ以前に回復処置を取らなければ死に至ることあり。

34 ~ 32 ℃
手が使えない。転倒するようになる。まっすぐに歩けない。感情がなくなる。しどろもどろな会話。意識が薄れる。歩けない。心房細動を起こす。

32 ~ 30 ℃
起立不能。思考ができない。錯乱状態になる。震えが止まる。筋肉が硬直する。不整脈が現れる。意識を失う。

30 ~ 28 ℃
半昏睡状態。瞳孔が大きくなる。脈が弱い。呼吸数が半減。筋肉の硬直が著しくなる。

28 ~ 26 ℃
昏睡状態。心臓が停止することが多い。

34 ℃近くで判断力がなくなり、自分が低体温症になっているかどうか、分からなくなっていることが多い。この判断力の低下は致命的。

 

想像しただけで、寒気がしますね(涙)。低体温症の最初の一歩となる、わかりやすい症状は、歯がガチガチしたり、からだが震え出すことです。この、体が自分で熱をつくりだそうとしている時に対処できると助かります。

けれども低体温症が進行し、判断力が鈍っている時に、大丈夫と聞いても、「大丈夫」と答えてしまうことがあります。これを信じてはいけません。