【ブラジリア時事】ブラジルのルラ大統領は18日、同国が今年の議長を務める新興国グループ「BRICS」は「反西側(米欧)ではない」と述べ、先進国との対立の中心軸になりつつあるとの見方を否定した。ブラジリアでの邦人記者団との会見で語った。ブラジルを国際社会で発言力を増すグローバルサウス(新興・途上国)のリーダー格と見なす日本は、24日からルラ氏を国賓として招き、安全保障分野の対話強化に乗り出す。
 ブラジルやロシア、中国などを原加盟国とするBRICSは最近、イランなどを加えて勢力を拡大している。ルラ氏はBRICSを「グローバルサウスをまとめる初めての組織」と説明。経済を中心とした協力の枠組みであり、反米欧と見なす風潮は「思想的にばかげている」と一蹴した。
 ルラ氏はまた、5月に50以上のアフリカ諸国の農業相を集めた会合を開くと明かした。ブラジルでは日本の協力を得て、セラードと呼ばれるサバンナ地帯を一大穀倉地へと転換した。ルラ氏は「成功体験を味わってもらいたい」とし、グローバルサウスをけん引する姿勢を明確にした。
 BRICSでは貿易決済などでの「脱ドル」が議論されており、「共通通貨構想」も取り沙汰される。トランプ米大統領は、米ドル離れを進めれば100%の関税を課すと警告。ルラ氏は、米国が世界から輸入する鉄鋼・アルミに追加関税を発動したことも踏まえ、「この政策は間違っている」と強調した。
 日本政府関係者によると、グローバルサウスとの連携強化を課題とする日本は、ルラ氏訪日を機に安保や世界平和などの分野で対話を強化することで合意を目指す。ルラ氏は国連安保理改革のほか、国際通貨基金(IMF)など「20世紀の遺物」の改善に向けた連携の深化に期待を示した。 
〔写真説明〕18日、首都ブラジリアの大統領府で邦人記者団と会見するブラジルのルラ大統領

(ニュース提供元:時事通信社)