2026年春に卒業する大学生を対象としたインターンシップ(就業体験)が活況だ。人手不足が続く中、雇用後のミスマッチを防いで優秀な学生との接点を多く作ろうと、企業に募集枠やコースを拡充する動きが広がる。一方、ルール変更で就活「前哨戦」としての色合いが強まり、学生の疲弊を招いているとの指摘もある。
 26年卒のインターンが開催されるのは、おおむね24年夏から25年2月。今は夏休みのインターンが終わり、秋冬開催の募集が本格化している。
 NECは生成AI(人工知能)など150以上のテーマで、夏冬合わせ過去最大規模となる1000人超を募集。機密事項もあるため、積極的な情報発信が難しい航空宇宙領域でも「学生の理解を深めたい」(人事担当者)と58人を受け入れ、人工衛星模型やソナー(水中音波探知機)のデモ装置について技術担当者が説明した。
 富士通は、26年卒から新卒採用者にも職務や役割に応じて異なる賃金体系などを適用する「ジョブ型人材マネジメント」を導入。インターンでも、実務に近い業務に挑戦できる1~6カ月単位のコースを用意し、自らのキャリア形成への意識が高く専門性を磨きたい学生を受け入れている。
 インターンは昨年のルール変更で、日数などの要件を満たせば参加者の情報を企業が選考に利用可能となり、採用との結び付きが強まった。
 就職情報会社マイナビによると、就業体験への学生の関心は高まる一方、参加者の情報の利用は6月1日以降といった条件を知る学生は1割程度。マイナビキャリアリサーチラボの長谷川洋介氏は「インターンの目的は仕事観などを養うことだが、条件(の理解)が浸透しておらず就活と混同されている」と説明。職種や配属先を確約するジョブ型採用が広がる中、インターンなどを通じて選択する力を育む必要があると指摘する。
 インターン自体の選考も激化。ある精密機器メーカーの人事担当者は「インターンに通らず、『縁がない』と本選考の応募を諦めてしまう学生がいる」とこぼす。企業にとっては優秀な人材獲得の機会損失にもなりかねず、NECの人事担当者も「応募が間に合わなかった人も、本選考にぜひ臨んでほしい」と呼び掛けている。 
〔写真説明〕インターンシップで、学生に向けて宇宙事業について説明するNECの担当者=8月27日、東京都府中市

(ニュース提供元:時事通信社)