2025年春卒採用から認められた「採用直結型」のインターンシップ(就業体験)。早速、取り入れた企業からは「学生の企業への理解が深まる」といった評価の声が聞かれた。一方、最低5日間の実施が求められ、学生と受け入れ企業ともに負担が大きいといった課題も浮かび上がる。受け入れ可否が実質的な選考となり、「青田買い」による就職・採用活動早期化も懸念される。
 採用直結型は、一定条件を満たせば就業体験で得た情報を企業が採用活動に利用できる。就活ルールを守る企業が不利になっているとの経済界などの要望を踏まえ、政府が25年春卒採用から容認する見解を示している。
 時事通信の調査では、採用直結型の就業体験に関し「双方の理解が深まる」(ENEOS)、「優秀な人材と早期に接触できる」(ニデック)など評価する声は多い。「(参加学生の)志望度を上げることができた」(鹿島建設)と、自社への志望動機につながるとの意見も聞かれた。
 一方、5日以上の就業体験プログラムについて、「学生負担を懸念」(三越伊勢丹)、「参加ハードルが高い」(三菱重工業)、「複数の企業への参加が難しい」(NTTドコモ)など、学業への影響を懸念する声もある。
 また、「長期間の実施は受け入れ側の負担も大きい」(日本製紙)など、職場の負担を課題とする回答もあったほか、導入を見送った企業からは、個人情報の取り扱いの問題から「実務経験(を積ませるの)が難しい」(SMBC日興証券)との指摘も出た。
 大学3年生の夏に行われることが多い中、「本来の趣旨と異なり、『早期化を助長する制度』となっている」(旭化成)との懸念も聞かれた。就業体験の申請者全員の受け入れは難しいため、「不通過者らへのフォローも大切だ」(電通)との答えがあり、参加できなかった学生への配慮も課題に浮上している。 

(ニュース提供元:時事通信社)