今回紹介させていただく報告書は、リモート会議などで使われる機材のメーカーであるPoly社(注1)が発表したもので、新型コロナウイルスによるパンデミックに伴って発生した、働き方の変化に関する調査結果である。これは2021年10月に発表されたもので、既に一年以上前のものであるが、最近某所で話題になったので改めて紹介させていただきたいと思う。
本報告書はレジリエンスに関するテーマを直接取り扱うものではないが、リモートワークなどによる柔軟な勤務形態が組織の事業継続に寄与する可能性が期待できるため、関連する分野として本連載で取り扱う意義があると考えている。
なお本報告書は下記URLから無償でダウンロードできる。
https://s24.q4cdn.com/511786472/files/doc_news/2021/09/Poly-Evolution-of-the-Workplace-Report.pdf
(PDF 16ページ/約 5.9 MB)
調査は2021年8月にオンラインで実施されており、英国、フランス、ドイツ、ポーランド、スウェーデン、スペイン、およびUAEからの計7261人から回答を得ている(注2)。したがって本報告書の内容は欧州および中東の事情が反映された調査であり、日本の状況とは若干異なることを念頭に置いて読む必要がある。なお、本報告書はリモートワークの普及が利益に繋がる企業による報告書であるため、データの分析や解説には、そのようなバイアスがかかっている可能性は否定できないが、それを差し引いても興味深いと思われるデータが多数含まれているため、ここで紹介する価値があるものと考えている。
まず図1は、伝統的な9時から5時までの勤務形態は既に過去のものだと思うかどうかを尋ねた結果である。左側の「そう思う/とてもそう思う」(Agree / strongly agree)が、いずれも国でも過半数を占めている。
この図を見て筆者がまず感じたのは、結果がかなり国によって異なるということである。本報告書にはこのように国別の調査結果が20件程度示されているが、概ね全ての図において、ドイツはどちらかというとリモートワークに対して若干消極的な傾向が、英国は比較的積極的な傾向が見られる。私たちはつい「欧米」という言葉を使って、これらの国をひとくくりに捉えてしまうが、欧州の中でも国によって事情が異なるということを再認識させられるデータである。
また、これはあくまでも現在既にリモートワークを経験している方々の意見であるから、リモートワークを実施していない方々の認識との間には違いがあるかもしれない。さらには経営層の認識との間にもギャップがあることも考えられる。本報告書ではこのような従業員の意識に対して経営者がどのように考えるべきなのか、といった観点の提言が多数含まれている。
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