2025/02/05
防災・危機管理ニュース
【北京時事】トランプ米大統領が命じた対中追加関税の発効を受け、中国は対抗措置で応じた。ただ、国内の景気が冷え込む中、双方が関税をかけ合う「貿易戦争」は避けたいのが本音。対米輸出規制の強化を含む複合的な内容となった。
中国は米国の追加関税について、世界貿易機関(WTO)に提訴するほか、「相応の措置」(商務省)を取ると表明済み。4日には、液化天然ガス(LNG)や石炭に15%、原油などに10%の追加関税を課すと発表した。さらに、スマートフォンの製造に使われるタングステンなどの輸出規制強化や、米グーグルに対する独占禁止法に基づく調査も明らかにした。
背景にあるのは、関税のみで対抗した場合に中国が受ける打撃の大きさだ。米ピーターソン国際経済研究所は1月、米国による10%の追加関税により、中国の国内総生産(GDP)が最大0.16%押し下げられると試算。米国へのマイナスの影響は中国を下回る見通しだ。
中国の専門家はこれまで、国内メディアに対し、米国が中国に依存するレアアース(希土類)など一部品目に絞った輸出規制の強化が有効な手段になるとの見方を披露していた。当局は人工知能(AI)や半導体など最先端技術への投資を加速させることで、外圧に耐えられる経済体制の構築を急ぐ。
中国は同時に、経済への打撃を抑える取り組みを強める方針だ。3月に開催予定の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では景気浮揚に向け、財政支出の拡大が打ち出されるとの観測も出ている。
〔写真説明〕トランプ米大統領(写真左)と中国の習近平国家主席(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/25
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方