□解説:「人手不足」関連倒産は400件超え

2018年度の「人手不足」関連倒産は400件に達しました(東京商工リサーチ調べ:2019年4月5日)。これは対前年度比で28.6%増となる件数で、これまで最多だった2015年度の345件を上回り、最多件数の更新となりました。人手不足倒産に陥った業種を見ると、「建設業」「サービス業(特に介護分野)」「運送業」が目立っており、この3業種で全体の7割以上を占めるようです。

少子高齢化に伴う生産年齢人口(15~65歳未満の人口)の減少は、今後ますます加速するということはよくニュースで取り上げられますが、一方で、労働力人口は減っていないという統計があります(「労働力調査」:総務省統計局2018年)。労働力人口とは、満15歳以上で労働する意思と能力を持った人の数を指し、学生や専業主婦など労働する意思のない人は数に含まない一方、65歳以上の就業者を含みますが、実は6年連続で増加しています。

この「増えている労働力人口をどのように確保するか?」が企業に問われています。具体的な対策として、「賃金や雇用体系を見直し、人を確保する」というのは最もオーソドックスなものですが、そう簡単に賃金を上げられない現実もあるでしょう。人材確保が難しい局面では「業務の効率化を図るための設備投資やシステムを導入し人手を必要としない仕組みを作る」ことも考えられる対策です。専門化している業務を「マルチタスク化」する、古い慣習を見直し無駄な書類や帳票をなくす「ペーパーレス化」を行う、社内で行っていた業務をアウトソーシングする「外部ITサービスの活用」など、業種・業態に合わせて人手不足に必要な対策は行わなければなりません。