2019/05/07
企業をむしばむリスクとその対策
□解説:「人手不足」関連倒産は400件超え
2018年度の「人手不足」関連倒産は400件に達しました(東京商工リサーチ調べ:2019年4月5日)。これは対前年度比で28.6%増となる件数で、これまで最多だった2015年度の345件を上回り、最多件数の更新となりました。人手不足倒産に陥った業種を見ると、「建設業」「サービス業(特に介護分野)」「運送業」が目立っており、この3業種で全体の7割以上を占めるようです。
少子高齢化に伴う生産年齢人口(15~65歳未満の人口)の減少は、今後ますます加速するということはよくニュースで取り上げられますが、一方で、労働力人口は減っていないという統計があります(「労働力調査」:総務省統計局2018年)。労働力人口とは、満15歳以上で労働する意思と能力を持った人の数を指し、学生や専業主婦など労働する意思のない人は数に含まない一方、65歳以上の就業者を含みますが、実は6年連続で増加しています。
この「増えている労働力人口をどのように確保するか?」が企業に問われています。具体的な対策として、「賃金や雇用体系を見直し、人を確保する」というのは最もオーソドックスなものですが、そう簡単に賃金を上げられない現実もあるでしょう。人材確保が難しい局面では「業務の効率化を図るための設備投資やシステムを導入し人手を必要としない仕組みを作る」ことも考えられる対策です。専門化している業務を「マルチタスク化」する、古い慣習を見直し無駄な書類や帳票をなくす「ペーパーレス化」を行う、社内で行っていた業務をアウトソーシングする「外部ITサービスの活用」など、業種・業態に合わせて人手不足に必要な対策は行わなければなりません。
企業をむしばむリスクとその対策の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方