A body of water で水域(水に関わる地理的な領域)
第8回:FEMAに学ぶ洪水対策(その1)

ライアン カミムラ
英国の大学院を卒業後、新建新聞社に入社。リスク対策.comの記者、編集者を経て現在某機械メーカーの海外営業部に勤務。主にコロナ前は海外展示会や海外営業担当、コロナ後はオンラインで英語プレゼンに従事。記者時代の経験を生かし、現在も記事、イラスト、翻訳を兼業。
2022/05/05
危機管理で学ぶ英語
ライアン カミムラ
英国の大学院を卒業後、新建新聞社に入社。リスク対策.comの記者、編集者を経て現在某機械メーカーの海外営業部に勤務。主にコロナ前は海外展示会や海外営業担当、コロナ後はオンラインで英語プレゼンに従事。記者時代の経験を生かし、現在も記事、イラスト、翻訳を兼業。
今回は、少し時事ネタから離れて、海外のリスク管理事情について取り上げます。米国連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency:以降「FEMA」)のホームページから自然災害の“洪水”に関する英語をみていきましょう。洪水は米国で季節や地域問わずに発生する、最も一般的かつ大きな経済的損失をもたらす自然災害と言われています。
1. Floods occur naturally and can happen almost anywhere. They may not even be near a body of water, although river and coastal flooding are two of the most common types. Heavy rains, poor drainage, and even nearby construction projects can put you at risk for flood damage.
出典:https://www.fema.gov/flood-maps
洪水は、自然現象としてどこでも発生します。川岸付近と海岸付近の洪水が最も一般的ですが、そのような水域周辺でない場所でも起こり得ます。豪雨、排水(下水)の不良、建設計画の近隣でさえ洪水被害を引き起こす危険性があります。
A body of water で「水域(水に関わる地理的な領域)」。river flooding 「河川の氾濫、外水氾濫、川付近の洪水」。coastal flooding「沿岸洪水、海岸付近の浸水や氾濫」。どれも名詞としてピッタリ当てはまる日本語ではないので、文脈によって訳を少し工夫する必要があります。
2. Flood maps show how likely it is for an area to flood. Any place with a 1% chance or higher chance of experiencing a flood each year is considered to have a high risk.
出典:https://www.fema.gov/flood-maps
洪水マップは、地域にどれくらいの洪水の危険性があるのかを示すものです。毎年1%、あるいはそれ以上の洪水の可能性のある場所はどこでも高い危険性があるとみなされます。
Flood mapsとは、地域コミュニティが、どのエリアが最も高い洪水のリスクがあるかを知るために利用する1つのツールで、FEMAがそのデータを更新しています。
chanceは「可能性」。Cambridge dictionaryでchanceを調べると“a possibility that something negative will happen”と記載されています。日本語でチャンスは、「好機」という意味になりますが、英語ではもう少し意味の範囲が広く、ネガティブな文脈でも使用されます。
3. People within a community use flood maps to make informed decisions about where to live, what to build, and how to protect their family, homes and businesses.
出典:https://www.fema.gov/flood-maps
地域住民は、適切な居住場所、建物、どのように家族、家、ビジネスを守るか判断する際に、洪水マップを利用します。
Informed decision「十分に説明を受けた上での決断」。同様の表現として、医療用語ではInformed consent「インフォームド・コンセント(患者が十分な説明を受けた上で、受ける医療行為について合意する)」が日本語として定着していますね。
4. Communities use the data in their maps to plan development and make infrastructure improvements. With flood risk data and maps available, communities can decide how to reduce the risk in ways that work best for all.
出典:https://www.fema.gov/flood-maps
地域では、街の開発やインフラの改善のために、洪水マップのデータを利用します。
入手できる洪水リスクのデータとマップを利用することで、地域社会はリスクを軽減する最善の方法を判断することができます。
available 「利用できる、手に入る」。名詞の後ろに置くことが多い形容詞であることに注意。In ways that~ 「~の(ような)やり方で」。
危機管理で学ぶ英語の他の記事
おすすめ記事
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方