2021/08/20
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
ソーシャルメディアリテラシーの重要性
インフォデミックを防ぐために、一人一人が情報をうのみにせず、周囲に誤った情報を拡散させない事が重要です。しかし、あふれかえる情報の中からデマ情報や不確かな情報を排除し、正確な情報を見抜くことは、容易なことではありません。
また、デマ情報や誤情報を、そうであるとは気付かずに善意で拡散させてしまうことも。ワクチンなどの医療に関する不確かな情報の拡散は、人の命や公衆衛生に大きく影響を及ぼすリスクがあります。
ソーシャルメディア上の多くの情報から正しい情報を見極めて適切に活用するためには、次の3つのポイントに留意して、自身のソーシャルメディアリテラシーを高めることが大事です。
(1)情報を見極める能力を養う
ソーシャルメディアの特性を理解し、ソーシャルディアで発信される情報には、デマ情報や根拠のない不確かな情報が含まれていることを認識した上で、ソーシャルメディア上で流れる情報から正しい情報を選択する能力を身に付けることが必要とされます。社会が不安定なときは、あふれる情報に振り回されないよう、信頼性ある情報機関が提供している1次情報を取得することが大事です。
コロナ禍では、首相官邸や厚生労働省などの公式機関が発信する情報やWHOの公式サイトなど確認するとよいでしょう。ただし、公式機関が発信する情報であっても、専門領域でない機関が発信する情報や、医師や学者などの専門家が個人で発信している情報はうのみにしないようにしてください。
なお、有事においても正確な情報を適時に収集できるように、平時から信頼できる機関やメディアのアカウントをフォローしておくことをお勧めします。
(2)受け手側に配慮して情報を発信する
ソーシャルメディアで情報を発信する際は、情報の受け手側に誤解が生じたり、不愉快な思いをさせたりしないよう、言葉選びや表現に注意しましょう。また、特定の相手にのみ伝えたい情報を発信する際はメッセージ機能やグループ機能を利用するなど、目的に合わせてソーシャルメディアの機能を使い分けることも大事です。
(3)発信する情報に責任を持つ(情報モラル)
誰もが情報を発信できる時代であるからこそ、情報の発信者には、自らが発信する情報の正確性や情報の受け手に及ぼす影響について責任を持つことが求められます。自らが発信する情報が社会に及ぼす影響を理解し、個人的な主義主張や自己承認欲求から、不確かな情報や誤った情報を発信することがないようしなければなりません。万一、誤った情報を発信してしまったことに気付いたときは、速やかに訂正し、拡散されないようにしましょう。
他者が発信した情報に関しても、安易に拡散することを控え、情報の正確性を自ら確認した上で拡散の必要性の有無について判断することも大事です。
リスクを踏まえて上手に活用する
ソーシャルメディアは現代生活に欠かせない情報インフラであり、災害やパンデミックなどの有事には、従来のメディアでは果たせない力を発揮するものです。しかし、デマ情報や不確かな情報の拡散などにより情報汚染がはびこれば、ソーシャルメディア自体の信頼性が損なわれてしまいます。ソーシャルメディアの信頼性を向上させるためには、一人一人が情報モラルを持って利用することが求められます。
そして、誰もが発信者として情報を分かち合える時代であればこそ、おのおのが自らのソーシャルメディアリテラシーを養い、いかなる状況においても、膨大な情報に踊らされることなく、正しい情報を見極める力をつけることが重要です。
ニューノーマル時代の労務管理のポイントの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方