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活発な梅雨前線の影響で九州をはじめとして全国各地に被害をもたらしている令和2年7月豪雨。各地に大きな被害をもたらした引き金の一つが、線状降水帯と呼ばれる気象現象であるといわれています。「線状降水帯」という言葉はここ最近、気象関係のニュースでもごく一般的に使われるようになってきました。ただし、線状降水帯というメカニズムの説明などはなされても、防災対策の実務の中でいかに危険を見分けるかなどはあまり触れられていません。

そこで今回の記事では、線状降水帯と災害の関係性や線状降水帯で危険となる場所の見分け方、線状降水帯の監視方法などについて述べていきたいと思います。

線状降水帯による災害例

過去に発生した大規模な水害や土砂災害では、線状降水帯が関係しているケースが多く見られます。下の図は2014年(平成26年)8月19日に広島で発生した線状降水帯の様子です。これを見ると北東から南西方向にかけて発達した雨雲がライン状となり、数時間にわたって同じような場所で大雨を降らせたことが分かります。最も多いところでは200ミリを超える雨が観測され、70人以上が土砂災害に巻き込まれ死亡しました。

写真を拡大 図1. 気象レーダーに現れた線状降水帯の例(2014年8月19~20日)(出典:広島地方気象台作成資料より)https://www.jma-net.go.jp/hiroshima/siryo/saigai/sokuhou_2014_0820.pdf

図1の線状降水帯は北東から南西方向へ伸びていますが、線状降水帯の中には東西方向に寝ているような場合もあれば、南北方向に伸びる場合もあります。また、線状降水帯は梅雨前線だけに特有の事象ではなく、低気圧や台風などの際にも発生します。

線状降水帯はなぜ危険か?

通常の場合、一つの積乱雲の寿命はせいぜい1時間程度といわれており、何時間も続くような大雨とはなりません。しかし線状降水帯の中では、複数の積乱雲が短い間隔の中で次々に発生して雨を降らせるため、結果的に非常にまとまった雨をもたらすことになります。

特に、ライン状の雨雲がほぼ同じような場所にかかり続けるような場合がとても危険です。多い時には一時間に数十ミリから100ミリ前後の大雨が降り、その状態が継続することでさらに雨量がまとまります。ただし、同じ線状降水帯と言っても足早に移動していくものもあるので、全てが危険というわけではありません。そのような違いについて、次で確認していきましょう。