リスク対策.com vol.35

■巻頭インタビュー
佐々淳行氏
国を、企業を守るために集団的自己愛を取り戻せ

■特集1
災害対策の盲点 BCPを再検証せよ
噴火リスク

東日本大震災から2 年。巨大な津波が町を飲み込んでいく映像は、今なお忘れることはできない。数百年、数千年に1度と言われるような自然災害は、知識では分かっていても、実際に体験した人がいないため、何が起こるのかを予測することは極めて難しい。これが災害対策の盲点でもある。
3.11以降、防災計画やBCP(事業継続計画)における被害想定の見直しが行われているが、噴火のリスクについて考えている企業や自治体は少ない。一方で、過去、世界で発生しているマグニチュード9 以上の地震では、その直後から数年以内に必ず噴火が起きている。日本は世界の活火山の実に7%を占める火山大国である。しかも、ここ100 年、大規模な噴火が発生しておらず、噴火のエネルギーがため込まれているとの推測もある。
噴火のリスクを闇雲に煽るつもりはない。富士山をはじめとする美しい風景は、火山が作り出したものでもあり、観光立国を目指す上では
風評被害も考慮しなくてはいけないからだ。そして近く発生が懸念される首都直下地震や南海トラフの巨大地震への対策との優先順位も考慮しなくてはいけない。
それでも、日本で暮らす以上、噴火を知る必要はある。今号では、噴火の仕組みと、影響、必要な対策についてまとめた。

・噴火の仕組み
M9以上の地震ではすべて噴火が起きている

・ 規模と回数
鬼界カルデラの噴火で四国の縄文人が絶滅した

・災害の種類
噴火による津波で1万5000人が死亡

・ 噴火が引き起こす災害
火口の場所や規模、種類、時期、
継続期間で異なる災害の姿

・ 降灰被害
交通機関の麻痺、停電 サプライチェーンの途絶

・ 鹿児島市に聞く
降灰の影響と対策Q&A

・ 課題
110活火山のうち観測できているのは47だけ

・新たな対策
火山防災リスクマネジメント
優先順位付けと具体シナリオ

・ モデル
富士山ハザードマップにみる国と自治体の連携モデル
 知ることが最大のリスク対策

・日本人の97%は噴火を経験したことが無い

 ・企業の噴火対策
 ①噴火に備えたBCPの考え方
 ②富士山の噴火に備える
 ③建設業における噴火対策
 ④保険戦略

・ 海外からのレポート

■シリーズ 訓練革命 3.11後の訓練

東日本大震災での経験をふまえ、BCPの新たな策定や見直しをする企業や自治体が増えている。BCPを計画倒れに終わらせず、実効性の高いものにするためには、日頃からの教育や訓練の徹底が不可欠だ。より現実に近い被災状況を想定した訓練を繰り返し実施し、有事における判断力や対応力を強化することで、初めて自分の役割に応じた行動がとれるようになる。
効果的なBCP訓練とはどのようなものか。目的や参加者のレベルによって様々な種類の訓練があるが、今号では、3・11で訓練がいかに機能したか、また、新たな教訓からどのように訓練を見直しているのか、いくつかの取り組み事例を紹介する。

・支援・受入体制も含めた大規模訓練
大成建設

現場から考える訓練
・TOTO

ロールプレイングで判断力を強化
・品川区役所

■インタビュー
大木聖子氏 
企業と考える家族の防災 

■講演録
齋藤ウィリアム浩幸氏 
見落とされているサイバー攻撃への対策

■NEWS
 世界経済フォーラム 今後10年のリスクを予測

■サマンサのBCP英語講座

■シリーズ
・みならい君のBCMS構築物語
打川和男

・BCMの実力を測ろう
昆正和

・サプライチェーンを含めたBCP
上原修

・業種別BCPのあり方
小山和博

・あなたの組織の内部通報制度は機能するか?
中村勉

・コンプライアンス達成に必要な従業員の法知識
北周士

 

・ISO22320(危機対応)について学ぶ
林春男

■トピックス
2012年企業倒産状況、11・12月の倒産状況