リスク対策.com Vol.42

 

■特集1 個々のBCPには限界がある 
     BCP連携の手法

企業が個々でBCP(事業継続計画)/BCM(事業継続マネジメント)に取り組むだけでなく、サプライチェーンや業界内で連携して取り組むことが求められている。東日本大震災ではサプライチェーンの途絶により、多くの企業が事業中断・縮小の危機に直面した。

昨 年12月17日に国土強靭化推進本部が発表した国土強靭化政策大綱では、「大規模災害等の発生後に国の経済活動を維持し迅速な復旧・復興を可能とするの は、政府や地方公共団体はもとより、個々の企業における事業活動の継続確保の有機的な積み重ねである」とした上で、企業の BCP/BCMの取り組みを一層促進するとともに、一企業の枠を超えて、業界を横断する企業連携型の BCP/BCM を推進することが盛り込まれた。今年2月には、経団連が、提言「企業間のBCP/BCM連携の強化に向けて」を公表。個別企業のBCP/BCMは一定の機 能を発揮し、着実に進展している一方で、企業間の連携が必ずしも充分でないことが課題とし、「サプライチェーンを構成する企業間」「地域内」「業界内」と いう3つのカテゴリーにおける連携強化に焦点を当て、企業や行政に求められる取り組みを整理した。

経済産業省では、一足早い昨年5月か ら、「事業継続等の新たなマネジメントシステム規格とその活用等による事業競争力強化モデル事業」を開始し、全国28グループを対象にBCMS(事業継続 マネジメントシステム)を活用した連携(一部エネルギーマネジメントシステムを活用した連携含む)のあり方を模索している。

全国で始まっているBCP連携の動きを追った。

◆小さなBCPを共有 株式会社リコー
◆運命共同体の挑戦 霞コンビナート
◆地域連携によるBCP 清水建設株式会社
◆地域医療のBCP連携 ひたちなか総合病院
◆全経営資源を被災地に 日本生活協同組合事業連合
◆事業競争力が高まる5つのタイプのBCP連携 インタビュー 内海 良氏 

■巻頭インタビュー 中野明安氏
  企業に求められる最低限の危機管理

■特別寄稿 連携力を評価する訓練手法
   情報伝達・共有型図上訓練を用いた危機管理体制強化マネジメントプログラム研究チーム
   研究代表者・北九州市立大学准教授 加藤尊秋

■特集2 新たな復興のあり方 
      被災前からの街づくり

東 日本大震災から3年が経過した。被災地では、復興に向け今なお多くの課題が山積している。高台移転、防潮堤の建設や嵩上げ、盛土工事…。津波対策をめぐる 議論ばかりが表面化しているようにも見えるが、問題は、元々少子高齢化の波が押し寄せていた沿岸部の集落を、100年先まで見据えていかに再建していくの か、住民が夢を持ち続けられる持続可能な街づくりをいかに進めていくかだ。

理想からすれば、住民の合意形成をとった上で、復興への道を決 めるべきだろうが、1年、2年という短期間で、しかも時計が止まったままの被災地では、それを求めるのはあまりに酷だ。交付金を早期に使いきるために国や 県から急かされるように住民置き去りの街づくりが進められる現状も、ある意味仕方がないのかもしれない。

被災してから考えるのでは遅い。これが東日本大震災の教訓でもある。
首都直下地震、南海トラフの巨大地震を目前に控えた今、新たなる復興の手法を講じておく必要がある。被災前から復興を考えておく「事前復興」について考えてみたい。

◆住居だけの高台移転では持続しない インタビュー 牧紀男氏
◆21世紀型の新たな価値ある復興を 講演録 小宮山宏 氏

●講演録 グローバルリスクを読み解く 講演録 平賀 暁氏

●TIEMS日本支部会報 指揮調整のあり方

●シリーズ 
 サマンサのBCP英語講座
 おかしくないか?日本の防災対策 齋藤實
 災害から命を守れ 熊丸由布治
 レジリエンスに関する世界の調査研究(1) 田代邦幸
 レジリエンスを巡る旅 昆正和
 業種別BCPのあり方 小山和博
 海外進出リスク  原 敬徳
 コンプライアンス達成に必要な従業員の法知識 北周士
 BCP担当者が最低限知っておきたい労務リスクマネジメント 岡本裕明