実際の映像を見てみましょう。有名なオーストラリアのライフセーバーの動画です。

救命処置の継続時間はどうするか。
大規模災害時など救急隊が速やかに来ない、あるいは来ない場合にどの位で救命処置を断念するか大変悩みます。20分、30分、1時間。できれば、何人か交代しながら可能な限り続けることが重要だと思いますが、元救急隊員に聞いたところ「子供に30分蘇生処置をして息を戻した例がある」ということなので、自分なら最低30分は続けたいと考えてます。
皆さんはいかがでしょうか? やってみればお分かりになりますが、長時間続けるためには交替、交替で胸骨圧迫を行わないと、とても体力が持ちません。

ところで10分以上胸骨圧迫をしていると、要救助者の血液中の酸素が消費され酸欠状態となるとのこともあるようです。以前の心肺蘇生では胸骨圧迫を30回後に、マウス・トゥ・マウスを2回行い酸素を補給しておりましたが近年では、マウス・トゥ・マウスはせずに胸骨圧迫を連続で続ける手順を教えることが多くなっております。これは、通常の場合で119番通報から10分ほどで救急隊に引き継げることと、感染症防止の観点からだと思います。が、大規模災害時では救急隊到着は時間がかかるか来ません。個人的には、やはりマウス・トゥ・マウスも必要になると思います。

ちなみに、2015年に改訂された「JRC 蘇生ガイドライン 2015」では、「訓練を受けていない市民救助者は、胸骨圧迫のみの CPR(心肺蘇生) を行う。訓練を受けたことがある市民救助者であっても、気道を確保し人工呼吸をする技術または意思がない場合には、胸骨圧迫のみの CPR を行う」となっており、さらに「救助者が人工呼吸の訓練を受けており、それを行う技術と意思がある場合は、胸骨圧迫と人工呼吸を 30:2 の比で行う。とくに小児の心停止では、人工呼吸を組み合わせた CPR を行うことが望ましい」と捕捉されています。その意味でも、やはり訓練を受けておくことが必須でしょう。


最後に、先ほどの動画でもありましたが、居合わせた人(バイスタンダーといいます)に明確に指示を出すことが大切です。

「あなたは119番救急要請、電話してください。」

「あなたたち(複数)周囲の安全確保、車両を止めてください。」

「あなたとあなたはAEDを探して持ってきてください。」

「AED、胸骨圧迫のできる人はいますか。」

「近所でタオルや毛布(止血、体温保持、周辺からの目隠し用など)を調達してきてください。ポリ袋(手袋代用)もお願いします。」

「要救助者の容態変化を随時救急隊へ電話連絡してください(救急隊から119番通報者へ電話きます)」

などなど、実際に経験しないと、なかなか思いつかないことも多々あります。
経験者の話を聞いたり、自分なりのシミュレーション訓練を行うことで、未経験であっても練度をあげておくことができます。

AEDのボタンを押すだけでなく、あなたがた先頭に立って心肺蘇生ができるよう、あなたの勇気のボタンを押せるようにしておくことが最も大切です。

【参考】
「BCPのSOS」
第三者の目線でBCP診断をする「セカンドオピニオンサービス」
http://bcpsos.rescueplus.jp/

(了)

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