訓練手法から使えるツールまで分かりやすく紹介

内閣府(防災担当)はこのほど、『企業の事業継続マネジメントにおける連携訓練の手引き』(PDF版)を発刊した。連携訓練の具体的な手法をわかりやすく解説するとともに、参考資料として、シナリオの作成や被害想定の設定、検討課題の抽出など、訓練に役立つ資料へのリンクが紹介されている。

内閣府では、企業等のBCM を支援するため、これまでも「事業継続ガイドライン」を公開するなど企業向けの情報を提供してきたが、東日本大震災やタイにおける大洪水のような広域かつ甚大な災害が発生した結果、自社だけでなく、多くの取引先企業を含むサプライチェーン全体の事業継続性の確保が極めて重要であることが改めて明らかになったことから、より多くの企業が事業継続に係る連携訓練に取り組めるよう、今回「連携訓練の手引き」を作成した。

内容は、第1章「連携訓練入門」、第2章「連携訓練の企画・実施」、第3章「連携訓練の実施モデルケース」の3章と、参考資料で構成。

第1章では、連携の主体として企業内の部門、グループ企業、取引先企業などが含まれると定義。広義では地域なども対象になるとした。その上で、訓練を実施する上での注意点として、経営者のリーダーシップ、シンプルでいざという時に活用できる内容にすること、いきなり完璧な訓練を行うのではなく、機能、条件を考慮して場面ごとに行うことなどを挙げた。

訓練の方法としては、机上訓練、シミュレーション訓練、実働訓練の3種類があるとして、テーマや習熟度、目標達成レベルに応じて最適な手法は異なるとした。シミュレーション訓練では、訓練シナリオを参加者に開示した状態で訓練を行う「オープンシナリオ」型と、参加者に対して問題を提示する「ワークショップ」型、訓練シナリオを参加者に開示しない「ロールプレイング」型などを例示。各訓練の準備として、必要なツールも例示した。

第2章では、テーマの設定、訓練の企画、訓練の実施、振り返りという順で、企画から実施方法までを解説。連携訓練では、その対象範囲の設定が難しいことから、(個社の部門連係・グループ企業連携)、(取引先企業)、(地域連携、業界連携)、(官公庁、指定公共機関)に分けて考えることを提案。その上で訓練の目的を、①通信訓練、②被害状況の共有訓練、③サプライチェーン継続訓練、④マネーチェーン継続訓練のように明確に設定し、マトリクス上に示すことで企画が立てやすくなるとした。

また、具体的な訓練のイメージが描けるように、上記①から④について、「訓練の設定」「実施方式の設定」「対象場面の設定」「参加者の選定・役割分担」「事前準備」「シナリオイメージ」「成功のポイント」「振り返りの進め方」をそれぞれ表形式で示した。

第3章では、実施モデルケースとして、食品を中心に全国展開している卸売業者A社と、A社の物流を担当している関連会社B社、A社からの食品などの商品供給を受けている小売業者C社の3社の連携訓練を取り上げ、2章に基づく実例を紹介した。

同モデルは、日本生活協同組合連合会が今年2月9日に実施したもので、本誌リスク対策.comでも2013年3月25日号で特集している。