2018/07/19
『事業継続の問題・課題はPDCAでやっつけろ!』
■PlanはBCPへの記載事項と検証の2本立て
さて、Planのステップです。会議メンバーを招集し、協定の要請に備えるための一つ目の検討事項、すなわち「協定活動の目的と方針」を明確にします。全員で県と合意した協定書をしっかり読み込んだあと、「いつ・どこから・どんな要請が来るのか?」「何を提供し、どのような貢献をするのか?」といったことをホワイトボードに書き出しました。
また、災害が起これば当面は日常の業務ニーズはないだろうと考えるのは早計です。ビルマネジメントのような業務の場合、災害が起これば逆に近隣の建物・施設などの民間ニーズが激増する可能性もありますから、そのすみ分けも必要でしょう。例えば「県からの要請が来ていない時点で民間ニーズがあれば応じるのか?」といったことです。
二つ目は「連絡体制」です。これは県と組合、組合企業同士の2方向で検討しなければなりません。県からの要請は電話かファックスが想定されますが、大地震などの場合はこれらが使えなくなる可能性があります。当然のことながら代替連絡手段として組合代表(A社)の携帯電話番号とメールアドレスを県に通知する必要がありますが、A社が被災して要請の連絡を受けられない場合を想定し、次候補として組合企業B社の連絡先番号も県に伝えるおく必要があるのでは、との意見も出されました。
しかし、これだけでは万全ではありません。前に述べたように、「いつでも協定の要請に応えられるようスタンバイするための体制」を目指さなくてはなりません。この3つ目は定期的、継続的な「検証」という形で実施するほかはありません。これについては、協定活動に必要な人員、業務資源がスタンバイされているかどうか、などを点検するためのチェックリストや机上演習方式が選ばれました。
■Doによる検証は机上演習で決まり!
「Plan」で固めた3つの内容は次の「Do」のステップで具体化されます。まず「協定活動の目的と方針」および「連絡体制」については、追加的な文言としてBCPに記載されました。「いつでも要請に応えられることの検証」については、チェックリストを作成してBCPに添付した他、半年間かけて、次のような2段階の机上演習を実施しました。
・各社組合員による机上演習
・県の危機管理課と組合企業による合同机上演習
この結果、さまざまな気づきや意識づけ、改善点が見えてきたことは言うまでもありません。とくに中小零細のビルメンテナンス会社の場合、いろいろと目からうろこを落とすことも多かったようです。協定の要請に応えるためには、自社内部の都合だけでなく、道路の状況や通行許可証の入手、燃料の確保など外的な条件も考慮しなければならないこと、協定の活動がボランティアに準ずるものであることを知らず、食事や宿泊するホテルの手配はどこでやってくれるのかと質問する業者も。
最後にA社は、これまでの段取りや手順のよしあし、机上演習の成果等を整理し、これらを総合的に勘案しました(「Check」のステップ)。その結果はおおむね良好と判断されたことから、当面はBCPに新たに追加した規定やチェックリストをもとに、今後も定期的に机上演習を実施していくことを正式に取り入れたのです(「Act」の判定)。
(了)
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- 第19回(最終回):経営方針が変わってBCMが消滅寸前!?(適用事例13)
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