実はとっても大切な、災害時のトイレ対策
いざという時に困らないよう備えましょう!
時東 ぁみ
防災士資格の取得(2007年)をきっかけに防災をより身近なものにするべく、エンタメの要素を取り入れながら楽しく伝える活動を展開。防災をテーマにしたラジオ番組やイベントなどに多数出演。上級救命技能、ペット災害危機管理士3級など防災・危機管理に関する資格多数。
2022/01/14
時東ぁみの「防災やってみよっ!」
時東 ぁみ
防災士資格の取得(2007年)をきっかけに防災をより身近なものにするべく、エンタメの要素を取り入れながら楽しく伝える活動を展開。防災をテーマにしたラジオ番組やイベントなどに多数出演。上級救命技能、ペット災害危機管理士3級など防災・危機管理に関する資格多数。
最近、街を歩いていて気がついたことがあります。それはトイレを貸さないコンビニが増えたということ。新型コロナウイルス感染防止のため仕方がないとはいえ、外出先でトイレが見つからず、ちょっとしたパニックを経験した方もいらっしゃるのではないでしょうか。我慢しようと思っても、我慢できないのがトイレ。それは災害という非常事態においても変わりません。実際に過去のアンケート調査では、発災から6時間以内に7割以上の人がトイレに行きたくなったと回答しました。つまり災害時、水や食料と同じかそれよりも先に必要となるのがトイレなんです。ところが防災というと、トイレのことはつい後回しになりがち。そこで今回はみなさんと一緒に、災害時のトイレ問題を考えていきます!
地震や風水害によって断水・停電が発生すると、多くの場合、トイレの水は流せなくなります。その状態でうっかりトイレを使ってしまうと、トイレはあっというまに汚物でいっぱいに。断水中は水を使って掃除もできないわけですから、これは本当に大変なことです。衛生状態の悪化は、ノロウイルスをはじめとする感染症のリスク増に直結します。お風呂などに溜めておいた水で流したら? と考える人もいるかもしれませんが、排水管そのものが破損している可能性があるので要注意! 特にマンションや集合住宅、オフィスなどの場合、汚水が別の階で溢れ出してしまうことも。排水管に問題がないことが確認できるまで、トイレは使わない。まずはこれを徹底しましょう。
発災から数日から数週間が経つと、避難所に仮設トイレの設置がはじまりますが、それで問題解決とはいきません。そもそも仮設トイレは避難者に対して数が足りないことがほとんど。排泄物の処理が追いつかず、使用停止になってしまうこともしばしばです。最近では、マンホールの上に簡易な便座や個室を設ける「マンホールトイレ」も普及しつつありますが、まだ数は限られています。
それに仮設トイレにしても、マンホールトイレにしても、災害時にはどうしても掃除が行き届かなくなるという問題もあります。また避難所のトイレは男女兼用になることが多いのですが、男性と同じトイレを使うことに抵抗感がある女性も多いですよね。そうなるとやっぱりみなさん、ついついトイレを我慢してしまう。中にはトイレに行く回数を減らすため、水分や食事を控える人も出てきます。けれど、ただでさえ体調を崩しがちな避難所生活で、水分や栄養が不足するとどうなるでしょう? 血液がドロドロになり、血栓の発生リスクが高まってしまう。いわゆるエコノミークラス症候群です。お年寄りの場合は、水を飲まずに食事をとることで、誤嚥(ごえん)性肺炎に罹ってしまうことも。いずれも時には命に関わることもある疾患です。避難所生活においてトイレを我慢することは、文字通り死活問題なのです。
こうしたトイレの問題を軽減するために、私たちに何ができるのでしょうか。まず個人単位で考えておくべきなのが、仮設トイレが設置されるまでの期間を、自宅などの水洗トイレを使わずに、いかにしのぐかということ。ここで有効なのが、携帯トイレです。
携帯トイレとは、凝固剤や吸水シートを用いて、水を使わなくても排泄物を処理できる携帯型のトイレのこと。凝固剤・吸水シートと専用のビニール袋がセットになったものがスタンダードで、水洗トイレの便器などに取り付けて使用します。ちなみに携帯トイレと組み立て式の便器がセットになったものを「簡易トイレ」と呼びますが、ご家庭用の備蓄にはコンパクトに収納できる携帯トイレが適していると思います。大人ひとりが1日にトイレを使う回数は平均5回とされていますので、最低でも家族全員で3日分、できれば1週間分の携帯トイレを備蓄しておくと安心です。それと併せて、トイレットペーパーや便座を拭く除菌シート、子どもやペット用のオムツの備蓄も忘れずに。水や食品と同じで、普段から多めに買ってストックする「ローリングストック」がオススメです。
時東ぁみの「防災やってみよっ!」の他の記事
おすすめ記事
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/08
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方