リードタイムを利用した意思決定時の注意点

このようにして河川ごとにリードタイムを把握し対応の計画を練っていきますが、実際に大雨となったときには、「想定上のリードタイムは今回の事例にも当てはまるのか?」というポイントにも留意しなければなりません。過去一番の水位上昇のスピードがその川として一番早い例であるとは限らないからです。雨の降り方が異なれば、同じ河川でも水位の上がり方が変わります(下図参照)。降雨の状況次第によって、過去の上昇スピードを上回るようなことが起こり得ると理解しておきましょう。

画像を拡大 図3. 愛知県の豊川が増水した3つの事例(昭和44年の戦後最大の洪水時、平成12年の東海豪雨時、平成15年の台風時)をグラフに示したもの。それぞれの水位上昇の様子が表されており、事例ごとに水位の上がり方が異なることがわかる (出典:国土交通省中部地方整備局豊橋河川事務所のホームページより http://www.cbr.mlit.go.jp/toyohashi/bohsai/history/toyogawa/toyokawa_200308sokuho/soku_03.html

河川の情報を防災対策に使う際には計画上のリードタイムを事前に押さえておくことと、最新の洪水予報などから実際のリードタイムを読み取ることの両方が肝心です。洪水予報の見方については複雑な部分があるので、次回の記事で紹介していきます。

(注1)
各基準水位の設定方法については、国土交通省が「危険水位及び氾濫危険水位の設定要領」や「洪水予報河川における避難判断水位の設定要領」などを定めている。
https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/

(注2)
指定河川洪水予報対象河川(国)の問い合わせ先一覧(災害情報普及支援室)
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/jouhou/jieisuibou/pdf/06_renraku_201709.pdf