2020/04/16
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
内水氾濫対策では10分間雨量を注視
気象庁の「雨の強さと降り方」や、大阪市の例などでは1時間雨量が使われています。しかし、実際に大雨となる場面では、1時間雨量だけではなく10分間雨量も利用して、内水氾濫の危険性を認識できるようにしておくとよいでしょう。
雨の降り方によっては、下水道で対応可能な1時間雨量をたった10分ほどで超える例があります。北海道帯広市では平成27年8月11日に1時間に39ミリの短時間強雨が発生し、市内各地で道路冠水や低い土地への浸水が発生しました(図参照)。雨がもともと少ない北海道帯広市の場合は、下水道の整備目標は1時間に26ミリとされています。

帯広市で降った1時間に39ミリという雨ですが、実はわずか10分間でその約半分に当たる20.5ミリが降っています。10分間雨量で判断できるようなくせをつけておけば、この20.5ミリという数字を見た瞬間に「これは内水氾濫の可能性が排除できない」とすぐに判断できるはずです。
10分間雨量は、都道府県が公表する防災情報のサイトや気象庁の「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」という情報から以下の手順で確認ができます(https://www.jma.go.jp/jp/highresorad/index.html)。

内水氾濫の危険性がいつどこで高まるかは、気象庁が発表する「大雨警報(浸水害)の危険度分布」という情報も利用できます(https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/inund.html)。どの程度の雨で内水氾濫が起こり得るかということを頭に入れながら、気象予測や10分間雨量の観測値、危険度分布などを駆使して危険を見逃さないようにしていきましょう。
(参考文献)
大雨・洪水警報の危険度分布とその利用について(気象庁作成資料)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/koushu180228/shiryou2.pdf
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