2016/11/10
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
5、白熱電球の知見(2)
もう一点。白熱電球で展示物が燃焼すると認識できなくても、熱くなることだけでも認識できていれば、こどもがやけどするかもと想像できたのではと思います。こどもは白熱電球でやけど事例があります。

こどもの遊び場に白熱電球を置くなんて、こどもの行動を知っていればあり得ないことです。
以上、1と5はこどもの行動について、広く社会に知られていないことに原因があるかなと思います。過度にこどもの利用が制限されればいいとは思いません。焚き火はやってほしいと思っています。しかし、危険を認識しつつ重大な結果を招かない範囲内で対応を見守る行為と、認識しないで放置する行為は異なります。今回の事件は後者だったと思っています。
そして、2〜4は、防災教育も含め、教育が効を奏していないのではないかという問題提起です。履修しない、学んでも実体験を伴っていない、それが積み重なり、知恵を次世代につなげられていないのではないかと危惧しています。
東京工芸大学工学部紀要 Vol.38 No.1(2015)
https://www.t-kougei.ac.jp/research/pdf/vol38-1-08.pdf
(東京工芸大学工学部基礎教育研究センター教授/江崎ひろみ氏)
「エリートを育成することも 大事だが、同時に広く子ども達に科学への興味を喚起する 取り組みも必要である。例えば、世田谷区では「自分の責 任で自由に遊ぶ」をモットーにした遊び場、プレーパーク を設けている。ここでは、常駐のプレーリーダーや地域 のボランティアのもとで、普通の公園ではなかなかすることができない焚き火や泥遊び、木登りなどを行うことができる。自然の中で自主的に遊び、工夫し、工作などをする 体験から科学への興味は生まれてくるであろう」
本来、最後は佐伯健仁君のご冥福をお祈りいたします・・と書くべきところだと思います。でも、目の前でお子さんを失った親御さんの気持ちを思うと、その言葉がうすっぺらく思えてしまってなりません。私も含め、それぞれの人がそれぞれの分野で、決してこんな事故を繰り返さない方策を練っていただきたいと願っています。
(了)
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方