2019/09/27
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
普通のクルマで大容量は無理
次に、シガーソケットを利用して、家庭と同じ100Vの交流(AC)を取り出す方法をご紹介します。シガーソケットに差し込むタイプのインバーターを利用すれば、クルマの12Vを、家庭と同じ100Vの電源に変換することができ、いつも使っている家電製品が使えるようになるのです。
↓インバーターは、たとえばこんなのです。
売り上げランキング: 570
電気の取り出し口がAC100V用のコンセントになっているので、家電製品が使えます。ただし、シガーソケットを利用するタイプのインバーターですと、実際に使える電力の量は、クルマ側のヒューズの容量によって決まってしまいます。たとえば、インバーターの出力が300W(ワット)でも、シガーソケットに使われているヒューズが15A(アンペア)だと、15A×12V=180Wとなり、180W以上の電力を使うと、クルマに付いているヒューズが切れてしまうのです(クルマのヒューズの容量は、取扱説明書か、ヒューズボックスのふたの裏に書いてあります)。
上の写真はクリップでバテッリーにも直接つなげるタイプのものです。これがついていたらバッテリーにつなげることができます。
バッテリーに直接つなぐタイプのものなら、1000Wぐらいまで使えるものもありますが、アイドリングで発電できるのは、乗用車だと大きなクルマでも500W程度、小型〜中型車では300W程度なので、それ以上の電力を連続使用するとバッテリーが上がってしまいます。ですから普通のクルマなら、アイドリングは300Wが上限と考えたほうがよいでしょう。冷蔵庫などモーターを使用する製品は、起動するときに大きな電力を消費しますから、500〜1000Wのインバーターを買っておいて起動時の大電力に備え(このときはバッテリーからの持ち出しになります)、運用時には300W(アイドリング時の概ね上限)に抑えるという使いかたもありかもしれません。
では、300Wでどの程度のものが使えるかといえば、LED照明器具が5〜10W、蛍光灯が40〜100W、冷蔵庫が200W前後、パソコンが50〜100W程度、扇風機が50〜60W、液晶テレビが150W前後ですから、災害時の優先順位からすると、冷蔵庫とLED照明器具数点を使用するのがせいいっぱい、というところではないでしょうか。昼間は照明器具を消して扇風機を動かすことはできます。ただ、気温が高いと熱中症対策としては、不安もあります(※医療機器を使用する場合、インバーターは「純正弦波」タイプを使用しないと正常に作動しない場合があります)。
真夏や真冬に停電した場合、冷暖房器具が使えるか否かは重要なポイントとなります。石油ファンヒーターは、点いてしまえば消費電力は100W前後ですが、点火するときに300Wを越えるものもありますから、300Wのインバーターが使用できるかどうかは微妙なところです。エアコンは家庭用でも200Vで動いているものがほとんどなので、残念ながら100Vのインバーターでは動かすことはできません。
洗濯機も500W以上消費するものがほとんどですから、使えないと思ったほうがいいでしょう。ホットカーペットや炊飯器など、熱を発生させるものも、300Wでは使えないと思ったほうがいいです。炊飯は、鍋と火力でもできるように備えたいですが、最近は「火が怖いし、使った事ない」という声も多くお聞きします。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方