2019/08/09
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
空気をためずに風を通す
次に空気と風をコントロールしましょう。空気をためると熱を蓄えるので、空気を動かすためにも風を利用します。うちわで風を送るだけでなく、衣類の形でも風を生む工夫してみてください。夏の衣類はぴったりの服よりも大きめの服の方が涼しいです。ぴったりだと、空気をためてしまい温かい空気を逃さないことになってしまうからです。
そして、ただ、ゆったりした服というだけでなく、かりゆしウエアのように、シャツはインにしないで、パンツの外に出し、首筋をあけると煙突効果によって、涼しくできます。
煙突効果については京都アニメーションの事件でも話題になりました。あまりにもむごく悲しい事件であったために、衣類の着方として紹介することが心苦しくもあります。とはいえそれは、特別な現象ではなく、日常的に存在している現象であることを知っておく事も意味があるかなと思うので、紹介します。
煙突効果(えんとつこうか、英: stack effect)とは、煙突の中に外気より高温の空気があるときに、高温の空気は低温の空気より密度が低いため煙突内の空気に浮力が生じる結果、煙突下部の空気取り入れ口から外部の冷たい空気を煙突に引き入れながら暖かい空気が上昇する現象をいうhttps://ja.wikipedia.org/wiki/煙突効果 より引用
服の下が開いていて、首筋も広く開いている場合、服の内部で熱がこもって暑くなってきたとしても、暖かい空気が上がり、下からそれよりも冷たい空気を取り込むので風がおこります。熱気が下から上に抜けていきます。
だから、この状態が作り出せる、「かりゆしウエア」「ゆったりしたTシャツ」「サスペンダーをつかって、ベルトを使わないワイドパンツ」などは、涼しくなることになります。ネクタイをゆるめるだけでは、煙突効果は起きないので、クールビズを徹底するなら、かりゆしウエアの方がよいことになりますね♪
さらに、大きめの服を着ていると、動くことで、ポンピング効果が発生して、風を作り出すことができます。かいた汗を、風をつかって効率よく乾かすと、気化熱も使えるので、さらに暑さを和らげることができます。
ということで、夏も冬と同じく、水と風と空気をいかにコントロールできるかが衣類の着方で重要になります。
普段から、夏はこのような衣類にできればいいですが、もしできないとしても、被災してエアコンが使えないという状況になったら、すばやく、首元はネクタイをゆるめ、ボタンをはずし、シャツは外に出しましょう。ワイシャツの中にインナーシャツを着ていたら、インナーシャツは脱いでしまってシャツだけになった方が服の間に空気をためず、煙突効果で発生する風が抜けやすくなるので涼しいです。
また、大きめの服である方が涼しいので、子ども用の夏服Tシャツは、ワンサイズ大きめにして、秋になったらその服がぴったりとした服として着ることができるようにすると、暑さ寒さ両方に対応できることになります。
さらに、小学生であれば、夏は大人の服を準備しておけば、大きめの服になるので、子ども専用の備蓄は不要になります。
以上、夏の衣類の着方のコツでしたが、いかがでしたでしょうか?
このところの夏はあまりにも暑いので、衣類の工夫だけでは乗り切れない状態ではありますが、暑い中、エアコンがあることを前提にして涼しい服の着方を意識しないでいると、熱中症の危険も高まります。エアコンが使えなくなる災害時は生死に関わることもあります。できるだけ、暑くない工夫を日常でもすると同時に、水と風と空気をコントロールすればよいことを理解していれば、その場で対応できる方法を探し出す事ができます。臨機応変に対応するには、表面的なアイデアを覚えることよりも、水・風・空気のコントロールという基本事項をおさえておく事が何よりも大事です。
(了)
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