決して万全ではない要配慮者の避難、どうすべきでしょうか

今月から「福祉と防災」について連載を始めます。私は、自治体職員の時に防災課、福祉事務所等を経験し、それ以来、福祉と防災をライフワークにして活動しています。

高齢者や障がい者など、日常から福祉支援を受けている方々は、災害時により一層、困難に陥ります。しかし、災害時の福祉支援が災害救助法に位置づけられていないなど、法制度的には至らぬ点がまだまだあります。災害から生き残るためには、被災直後の避難を無事に行い、避難生活においても福祉支援が機能して災害関連死を防ぐ体制を構築していく必要があります。その課題と対策を読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

一緒に助かるために

東日本大震災では、死者の約6割が高齢者でした。また、障がい者の死者は正式な統計はないのですが、NHKの自治体への聞き取り調査では2倍に上っています(2011年9月11日NHK・Eテレ)。では、津波浸水区域にいながら助かった高齢者や障がい者との違いはなんでしょうか。被災高齢者・障がい者315人を対象にしたアンケートでは、「誰が避難支援をしてくれたか」の問いに、最も多かったのは家族・同居者の85人、次に近所・友人が60人、福祉関係者が53人、消防・消防団が11人と続きます(内閣府「避難に関する総合的対策の推進に関する実態調査結果報告書」2013年)。すなわち、災害直後は家族の自助と、近所・福祉関係者の共助が特に重要なことがわかります。

一方で、高齢者や障がい者を助けに行くことは、危険に近づくことでもあります。実際、自治体職員221名、消防団員254名、民生委員56名。福祉施設職員86名が亡くなりました(2011年12月13日 河北新報社)。自分の安全だけを考えれば助かったと思われる方々です。

「一緒に助かる」ためには、守り手、支援者の危機管理能力も高めなければなりません。