【ベルリン時事】ドイツ連邦参議院(上院)は21日、防衛強化やインフラ整備に充てる財源確保のための基本法(憲法に相当)改正案を採決し、3分の2以上の賛成で承認した。大統領の署名を経て成立する。インフラ向け基金の新設を含め、計1兆ユーロ(約160兆円)規模の支出に道を開く。
 基本法改正は、トランプ米政権が欧州の安全保障に後ろ向きの姿勢を見せる中、冷戦終結後に弱体化した独軍を立て直し、ロシアへの抑止力を維持するのが狙い。ウクライナへの軍事支援拡充も目指す。次期首相の座が確実視される最大野党キリスト教民主同盟のメルツ党首は「ロシアの攻撃を防ぐためにできることは何でもする」と強調している。
 改正案は、年間の国債発行を国内総生産(GDP)比0.35%までに抑える基本法に例外規定を設け、GDP比1%を超える防衛支出について無制限に起債を認める。基金には5000億ユーロ(約80兆円)を充当し、今後12年間の道路や鉄道の改修、温暖化対策などに振り向ける。債務規律に厳しいドイツでは異例の財政政策だ。 
〔写真説明〕18日、ベルリンのドイツ連邦議会(下院)で演説する最大野党キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)