【ロンドン・ロイター時事】ノルウェーのエネルギー調査会社DNVは9日公表したリポートで、世界のエネルギー部門の二酸化炭素(CO2)排出量が今年、ピークに達するとの見通しを示した。石炭火力発電や石油消費の削減につながる太陽光発電や電池の開発コスト低下が背景にある。
 2023年に新設された太陽光発電設備の容量は80%増の400ギガワット(GW)。多くの地域で太陽光発電のコストは石炭火力発電よりも割安になった。電池価格の低下を受け、24時間稼働する太陽光発電や蓄電池が利用しやすくなったほか、電気自動車(EV)価格も値下がりが見込まれている。
 CO2排出量が最も多い中国は世界最大の石炭消費国だが、同時に全世界で設置された太陽光発電設備の58%、EV販売台数の63%を占めている。太陽光や風力発電設備の新設が続いており、化石燃料への依存度は急激に低下する見通しだ。
 DNVの幹部は「太陽光発電と電池がエネルギー移行をけん引している。予想していたよりもエネルギー移行は進んでいる」と指摘、「CO2排出量がピークに到達するのは人類にとっての節目だ」と評価した。
 一方、排出量がピークに達したとしても、既にCO2の蓄積が進んでいる上、排出減のペースも遅いことから、世界気温上昇は「パリ協定」が目標に掲げる1.5度にはとどまらず、2.2度が最もあり得るシナリオと指摘している。(了)

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