第11回 カーボン・オフセット製品の取り組み
CFP事業の活発化やオフセット・クレジットのさらなる活用につながる
島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
2024/10/05
環境リスクマネジメントに求められる知識
島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
国内の地球温暖化削減が計画通りに進行していないため、新たな対策方法により温暖化防止を拡大し認識させる目的で考案されたものが「CFP (Carbon Footprint of Products)を活用したカーボン・オフセット製品 」です。この製品が普及しますと、2011年より国の試行事業として実施し、2012年より産業環境管理協会によってCFPコミュニケーションプログラムとして運用開始しているCFP事業の活発化に影響を及ぼすことが考えられます。また、2008年より促進されているカーボン・オフセットに用いられるオフセット・クレジットの更なる活用が、図られることにつながるなどの効果が、期待されています。温暖化防止促進を担う「CFPを活用したカーボン・オフセット製品」について紹介いたします。
CFP を活用したカーボン・オフセット製品 (以下、「CFPオフセット製品」という)とは、製品のライフサイクルでのCO2排出量を同量のクレジットでカーボン・オフセットしてゼロにすることを意味します。また、家庭や消費者に対しては、製品に表示された「どんぐりマーク」を通じて、購買意欲を高め環境対策意識を向上させるのに役立つことができます。
CFPオフセット製品の誕生するローカルな背景としましては、「CFPの算定値を製品にラベルを添付する本来の方法以外にも活用できないか」という問題意識と、「クレジット制度との連携をどのようにすれば実現できるか」を課題として進められてきました。
そこで、クレジット制度との連携方法としては、既存のCFP制度による算定方法とカーボン・オフセットのクレジット制度を活用した「CFPオフセット製品」が考案され、2012年8月より試行事業として開始されました。
CFPオフセット製品事業を推進しなければならないグローバルな背景には、4つあります。1つめの背景は、第3回気候変動枠組条約締約国会議COP3 (Conference of the Parties 3)の京都議定書のもとで、自国の温室効果ガスインベントリ(Greenhouse Gas (GHG) lnventory : 国が1年間に排出あるいは吸収する温室効果ガスGHGの量)を作成し、公表する義務を負ったことから、生産に関する直接排出のスコープ1と生産に関する間接排出のスコープ2を対象とする6%のCO2削減が、急務となったことです。
2つめの背景は、GHG プロトコルイニシアチブより「スコープ3スタンダード(Corporate value Chain (scope3)Accounting and Reporting Standard)」および「プロダクトスタンダード(Product Life Cycle Accounting and Reporting Standard)」が公表されたため、2011年10月には、温室効果ガスの算定・開示基準の開発とその利用促進を進める必要があったことです。
スコープ3スタンダードおよびプロダクトスタンダードは、自社・自組識の事業活動に伴う地球温暖化の広範な影響の把握と、理解の必要性を認識している企業のニーズや幅広いGHG情報開示を求めるステークホルダーのニーズに合致したものであるため、スコープ3を対象とするCFPオフセット製品の事業は、必要かつ重要な意義を持っています。
3つめの背景は、2013年9月国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)の第4次評価報告書の提示により、現在、地球温暖化の進行が加速して、世界各地で干ばつや洪水、急速に溶けている南極の氷、減り続ける熱帯雨林、猛暑や豪雨の異常気象など、深刻な現状と地球危機が強く提唱されたことが、大きな背景となっています。
4つめの背景は、2015年12月第21回国連気候変動枠組条約締約国会議COP21のパリ協定に基づき、2030年を目標として2013年比で温暖化ガス排出量を46 % (50%の高みの挑戦も示す) 削減する国際目標が決定されたことです。
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