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現行の「カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム」は、産業環境管理協会(JEMAI : Japan Environmental Management Association for Industry )が、国のCFP( Carbon Footprint of Products) 制度試行事業の成果を引き継ぎ、2012年4月より運営しています。CFPプログラムは、(A)プログラム運営者、(B)事業者、(C)ステークホルダーが連携して運営しています。第8回に引き続き、CFPプログラムの成立過程と基本構造を中心に解説いたします。

カーボンフットプリント(CFP)とは、カーボンラベリング(CL:Carbon Labelling)とも呼ばれ、直訳すると「製品の炭素の足跡」です。すなわち、商品の一生(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)に排出されるCO2量を商品に表示して「見える化」(数値化または宣言)するしくみです。製品のライフサイクル(製品の一生)には、製造する事業者だけでなく、原材料の調達、生産、流通、販売、使用、廃棄、リサイクルの段階において、それぞれの事業者や消費者が関わっています。そこで、CFPは、製品をテーマに、事業者と消費者が、共にCO2の排出削減を考え、取り組んで行くためのツールとして位置づけられ、究極的には、地球温暖化の原因であるCO2を減少させる手段として設定されました。

(1)CFPプログラムの成立過程

CFPプログラムは、産業環境管理協会が、国のCFP制度試行事業を引き継ぎ運営しています。CFP制度試行事業とは、経済産業省が中心となり、農林水産省、国土交通省、環境省が、2009年度から2011年度の3年間、試行事業として実施した基本的ルールの整備と実証実験です。CFP制度試行事業の成立過程と国内外の動向は、図表1のとおりです。

図表1で示したPCR (Product Category Rule) とは、同一商品またはサービスの種別ごとの共通のライフサイクル・アセスメント(LCA : life cycle assessment )算定基準のことです。本基準は、PCRの公平性や透明性を確保するために、すべてのPCRに共通する概念となる策定基準を試行的に定めたもので、算定の正確性や簡便性などの観点から、策定後も常時見直しと改善が行われています。

まず、国内動向をみますと、2009年度は、PCR認定とCFP検証の方法、課題の抽出、データベース構築の開始などを実施しています。

2010年度は、2009年度試行事業を踏まえた見直しが行われています。例えば、多様な表示のあり方、広範囲のPCR、サービス分野の検討、PCRの既存商品における商品の拡大とニーズの反映、データベースの整備などを実施しています。

試行事業最終年度2011年度は、ニーズを踏まえたサービス分野と検証スキームの実証実験の取り組み、消費者コミュニケーションの促進、国際潮流と協調などに取り組んでいます。

このように、3年間は、2012年度以降の民間移行を念頭において、試行事業を推進しており、2012年4月から産業環境管理協会へ移行しています。

次に、国外動向をみますと、ISOなどの国際的な制度の協調を図るため、国際会合へ2009年度より継続して参加しています。2009年度は、カイロ会合、ウイーン会合、東京会合へ参加し、2010年度は、レオン会合、トリエステ会合へ参加し、2011年度は、オスロ会合、トロント会合へ参加しています。

2012年度以降では、2013年にライフサイクル・アセスメント国際規格標準仕様書ISO/TS(International Standardization Organization/Technical Specifications)14067を公表しています。

このCFP制度試行事業において、登録申請からCFPマークの表示までの手続のフローは、第1から第3段階まであります。第1段階は、CFPマーク付与を希望する事業者は、CFP算定・表示を行うための前提条件となるPCRの原案策定計画をCFP制度試行事業事務局宛に申請・登録します。

第2段階は、作成されたPCR原案は、意見公募(パブリックコメント)、専門家によるPCRレビューを受けた後で、PCR認定委員会での審査を受けます。

第3段階では、当該製品に関するCFP算定結果は、表示内容と合わせてCFP検証パネルの検証を受け、適当と認められるとCFPマークの使用が許諾されます。

このような第3段階までの手続により、申請者は、対象製品にCFPマークを表示し、販売を開始します。国の試行事業での成果は、2012年3月時点で73種類のPCRが認定され、469の対象製品(サービスを含む)がCPF認証済みであります。

なお、第1段階から第3段階までの手順の内容は、次の10回において、詳しく説明いたします。