ガバナンス、コンプライアンスは手段・方法
第13回:コーポレート・インテグリティの実践・具現化(1)
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2022/06/15
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンス
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
Corporate integrity is not ‘greenwashing’ or being seen to be doing the right thing for the press. Integrity is behaving in a way that generates long-term value to support the communities that organizations serve.
Tony Jordan
EY Americas Forensic & Integrity Services Leader
(EY Forensic & Integrity Services, Global Integrity Report 2020, p19)
上記のTony Jordan氏の言葉は、「企業のインテグリティとは、『グリーンウォッシング(上辺だけの環境への配慮)』でも、マスコミ向けに正しいことをしているように振る舞うことでもありません。インテグリティは、組織が地域社会を支援するべくサービス提供することで、長期的価値を生み出すような行動をとることです」と訳されています(上記日本語版19頁)。
前回、コーポレート・インテグリティは、①「企業のあるべき姿としての価値ある高潔な状態」であり、個別企業の社会からの信頼・応援を獲得するための不可欠の前提であると同時に、②広く企業(制度)それ自体が、社会にとって有用・有益な存在であるものとして受け止められ、社会からの信頼・応援を獲得し、存続していくための不可欠の前提でもあることをお伝えしました。
上記Tony Jordan氏の言葉に「support the communities that organizations serve」(組織が地域社会を支援するべくサービス提供する)という部分がありますが、組織(本連載での文言に引き寄せれば、企業になります。以下同じ)が、地域社会(本連載での文言に引き寄せれば、社会になります。以下同じ)を支援するというところに、企業が社会の一員であること・社会により支えられた存在であることを前提とした理解があるといってよいように思われます。
また、企業(制度)が社会にとって有用・有益な存在であるものとして受け止められるためには、社会を支えるための(=社会にとって有用・有益な)価値を生み出し、提供することが必要であるということができるように思われます。
そうすると、前回お伝えした本連載におけるコーポレート・インテグリティの意義・趣旨と、Tony Jordan氏の言葉とを合わせ考えると、㋐企業が社会からの信頼・応援を獲得するためには、コーポレート・インテグリティが不可欠のものであり、㋑コーポレート・インテグリティを実践・具現化するということは、社会にとって有用・有益な価値を生み出すことである、というように整理することができるのではないでしょうか。
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