2017/11/09
防災・危機管理ニュース

地盤ネットホールディングス株式会社は6日、子会社の地盤ネット総合研究所株式会社が2016年度に引き続き、地盤構造評価システムの高度化にあたって、国立研究開発法人防災科学技術研究所、白山工業と、地盤の「微動探査」に関する産学共同研究を締結したと発表した。住宅地盤調査分野への利活用を目的とする。研究期間は2018年3月31日まで。
微動探査とは、常に体感できないほどわずかに振動している地盤の動き(微動)を観測する地盤調査手法で、微動の地盤中の伝わり具合いを観測することで、地盤の硬さや地下構造、地震に対する揺れやすさなどを調べることができる。複数の微動計で観測されたデータを解析処理することによって、観測地点の地下構造(地盤特性)を求める物理探査法だ。
2016年の熊本地震の現地調査で、宅地での地震を中心とした被害の度合いは地盤による影響が大きかったという。その教訓を踏まえて同社は「これまでの地盤調査は平時の検討であり、それに伴う地盤補強は地震対策には不足しているものだった。今後は地震動など有事の際も含めた調査を行い、建物の耐震性も検討する必要がある」とする。
微動探査では地盤に加え既存建物の固有周期を調べることができ、中古住宅の地盤状況や地震に対する揺れやすさの個別宅地における評価、建物と地盤の卓越周期の評価が可能なことから、今後流通が促進される中古住宅の地盤評価などの活用についても研究を進めていく。同社は「地盤も良く安全な既存宅地への移住を促進でき、良い地盤のエリアに多く存在する空き家問題の解消に対しても貢献できると考えている」とする。
■ニュースリリースはこちら
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=announcement&sid=38878&code=6072
(了)
リスク対策.com:横田 和子
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/13
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方