2. 就業時間外の安否確認
発災後すぐに安否確認システムを稼働させる

就業時間外に地震が発生した場合は、速やかに安否確認システムを稼働させます。

従業員の安否を確認するために、外部事業者が提供するサービスを活用する企業が増えています。もちろんメールや電話を使って確認する方法もありますが、混乱している被災時に従業員の手作業で確認することは非常に困難なため、何らかのシステムを導入し、自動的に集計することを検討するとよいでしょう。

安否確認システムは、職員が短時間で簡単に入力できることが重要ですが、被災後、時間の経過ごとに参集可能な従業員数が明らかとなるように入力項目を設定しておく必要があります。

なぜならば、従業員本人が無事であっても家族が負傷するなどの事情で出社するまでに時間がかかる、あるいは参集できないということが考えられるからです。

このように、安否確認システムには、安否を確認するとともに、被災後に参集できる要員を確認するという意味もあります。災害発生時に、企業内で確保できる従業員数、そして被災地以外の拠点から参集可能な従業員数を確認することで、それらの要員を重要な業務に振り分けて事業を継続できるからです。

【入力項目の設定例】
①職員の状況
・無事
・軽傷
・重傷
・その他

②参集可能な時間(選択肢は企業ごとに決める)
・勤務中(企業内で被災した場合など)
・1日以内
・2日以内
・3日以内
・3日超(当面出社不可を含む)

また、安否確認システムは導入するだけでは十分とは言えません。訓練を行うことで、実際に被害が発生した際でも、安否確認システム自体が稼働するかどうか確認し、もし不備があればプログラムの修正を行うなどの対応が可能となります。

あわせて、従業員が被災時にも速やかに入力・登録ができるように、研修などの機会を設けて啓発しておくことが大切です。

3. 参集ルール
安否確認システムが機能しないことも想定しておく

被災後に事業を復旧させ、その後の事業継続につなげるためには、従業員の確保が必須です。そのためには、夜間や休日などほとんどの従業員が会社にいないときに地震が起こった場合でも、必要に応じて、従業員が事務所や工場に集まる仕組みづくりが大切です。

しかし、実際に甚大な被害をもたらす地震が発生した際、被害の大きさや通信インフラの状況によっては、安否確認システムが的確に機能するとは限りません。また、安否確認システム自体は稼働していても、従業員が大きな被害を受けたためにシステムへの入力ができないことも考えられます。

そのような場合に備えて、次のような考え方で、従業員の参集ルールを決めておくとよいでしょう。

●参集ルールの考え方
震度5強以上の地震、あるいは大規模な自然災害で同等以上の被害が発生した場合は、従業員自身と家族の安全確保を前提とし、さらに交通の復旧状況も確認しつつ、自主的に参集するという方針です。どのような状況においても、自らを危険にさらしてまで参集するということにはなりません。

【ここがポイント】

企業の経営資源の中で、従業員が最も重要であると言っても過言ではありません。その従業員の安否確認を的確に行うことが、速やかな復旧と事業継続につながります。

1. 就業時間内と就業時間外で安否確認の手順が異なる
2. 安否確認システムを的確に運用するためには準備が必要
3. いざというときに備えて、参集ルールを決める