水難救助のプロもライフジャケットは必須

水難救助のプロも川に入る時はライフジャケットをつけています。

アウトドアの「レスキューハンドブック」などの著者としても有名で、レスキュー隊員に水難救助法をレクチャーする藤原尚雄さんにお聞きしたら、ライフジャケットの装備は「もっとも原則的な安全管理で、もっとも絶対的な必須要件です。」とおっしゃっていました。

藤原尚雄さん 日本リバーガイド協会常任理事
日本レスキューインストラクター協議会代表
レスキュー3インターナショナル公認救助技術インストラクター
消防大学校警防課程/救助課程/消防防災航空課程非常勤講師
 
国土交通省大学校河川研修課程講師 


他にも、「川での事故は瞬間的に起きて、ライフジャケットの着用がなければ1分後には致命的な状況になります。が、そこから救助したり発見するのには1分以上の時間が必要です。川で事故が起きると致死率が非常に高くて、救助が陸上に比べて非常に難しいこと認識してください。」とのメッセージをいただいています。

ライフジャケットは、シートベルトと同じくらい必要なものと理解していただけたでしょうか?

大人も必ず着用してくださいね。

子どもの事故は子ども単独ではなく、大人同伴の時も同様に起こっています。ライフジャケットなしで救助はできません。そして、こどもは脱げにくい股下にもストラップのあるものを選んでくださいね。

股下ストラップのある、こども用ライフジャケット。ライフジャケットは自分の体重の10%以上の浮力を目安にします(一般的には7〜8キロの浮力があります)ホワイトウォーターでは、高浮力のものにしてください。正しい着用で、頭部を水面にだし、呼吸を確保します。(画像提供:モンベル)

ところでライフジャケットの必要性は充分理解した。それほど川に危険な場所があるなら、もう川遊びは怖いからやめよう。こどもに危ないから絶対に近づかないように言おうと思った人もいるのかもしれません。

でも、その発想が逆に危険になってしまうのです。

先日川遊びのレクチャーをした際、大人になってから、ちょっと流されてみようと遊んでいたら、リサーキュレーションにはまって、命を失いかけたという参加者がいらっしゃいました。

親が行くなと言っていても、その言いつけは大人になってまで守ってもらえません。15歳以下のこどもが年間50人に対し、大人は年間650人亡くなっているんですから。

一生命を守るスキルは、「行かない」ではなく、「どこが危ないか」「何が危ないか」「どうすればよいか」をこどもに伝えることだと思います。

では、ライフジャケットをつけた上での正しい流され方、ご存知ですか?ほとんどの方が流された時の助かり方をしりません。それでは事故が減らないのは当然だと思います。

ホワイトウォーターフローティングポジションを覚えてください。

ホワイトウォーターフローティングポジション

足は下流にむけて、上を向いて浮き、両腕でバランスをとり、足から進んでいく姿勢になります。そして、つま先は水面にできるだけあげてください。岩が足先にあれば、浮かんだまま岩を蹴って方向転換します。

足がつきそうであっても立とうとしてはいけません。川底の石などに足がひっかかり(フットエントラップメント)、動水圧を受けることで水中から顔をあげることができなくなります。このようなことになると、ライフジャケットをつけていても致命的になります。

河川財団「水辺の安全ハンドブック」P11から転載(資料提供:河川財団)