炊き出しメニューと回数

炊き出しのメニューは日を追って変わっていきました。頻度が最も多いものを1位(100%)としたときの比率%で2位、3位のみ示しました。

最多頻度の食品を100とした場合の比率(%) 

図:阪神・淡路大震災―炊き出しを分類し上位3位までを月別に示した

特徴的なのは、厳寒の季節なので体が温まるものが上位だったことです。1月は汁物と果物が多くなっています。ライフラインが止まっていたため、手の込んだものはできず、汁物で精いっぱいだったのです。果物が多かったのは、煮炊きが要らないし、人数が多いため配りやすかったのでしょう。
2月はやっと主食の麺類とご飯ができるようになりました。野菜不足が心配されていたので野菜料理が多くなり、被災者は喜びました。3月は米を洗う余裕ができ、ようやくご飯が1位になりました。

 

被災者は和食を好んだ

料理別で見ると、トップメニュー10位は全て和食で、多い順に「温かいご飯」「うどん」「ぜんざい」「鍋物」「野菜・豚鍋」「ふろふき大根」「甘酒」「にゅう麺」「すし」「みそ汁」でした。ちなみに、当時来日していたイギリス人に「もしお宅のお国ならどうですか?」と聞いてみました。
彼は、「スープ」「パン」「ミートパイ」「キッシュ」「サンドイッチ」「サラダ」「チーズなど」と話してたのを覚えています(キッシュ=溶き卵に野菜、ベーコン、魚などを混ぜてパイ生地または器に入れ、オーブンで焼いた料理)。

 

ボランティアができなかった問題点は?

ところで、ボランティアをしたくてもできなかった方もたくさんいます。ボランティアができずにガッカリした理由は以下の通りです。
1.  道具がなかった
2.  食材や調味料がなかった
3.  どこの場所に炊き出しに行けばよいか分からなかった
4.  やっと被災地に来たのに、味の好みが関西人に合わなかった
5.  道路幅が狭く道具類が車で搬入できなかった
6.  1人ではできなかった(仲間とやらないと難しい)
7.  料理の仕方が分からなかった。
8.  資金がなかった(材料費1人100円とすれば500人で5万円にもなる。プロパンガス、機器類など全て調達するとお金が足りない)

こうした問題の多くは、その後、少しずつ善処されてきましたが、今でもなお、資金源や仲間づくりなどの問題は未解決のままです。

「炊き出し」は、共助です。共助を実現するには仲間づくりをしなくてはいけません。さらには、共助・公助を進められる人づくり、組織づくりが必要で、モノの準備も不可欠です。未来に向けて船を本気で漕ぎ出さねばなりません。船頭を「誰がしますか」「いつしますか」「どこでしますか」?

(了)