2019/04/19
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
多様性の時代に禁止の髪型
さらに、校則を聞いているとこんなものもありました。
「校則は社会生活やマナーを守ることだけです。生徒の自主性を尊重しています」
という事なのですが、なぜか生徒にだけ配られる冊子があり、そこには、悪名高き、地毛証明(地毛が茶色の人は証明書を添付すること)という項目があるというのです。さらに、地毛証明をとったとしても、髪が傷んでいたら黒染めをしないといけないとのこと。日常生活でも髪が傷むことはありますよね。傷んでいたら染めているはずと決めつけられる状況に、自主性ってあるのでしょうか?
ブラック校則の典型例として有名な黒染めが校則ではないといいつつ、根拠が不明瞭な規範で決まっているという事は、何が禁止になるかは明確ではない分余計に、先生の顔色を見て判断しようという子どもを多く育ててしまうような気もします。
防災教育では豪雨の際、避難情報が出ていてもなぜ人は避難しないのかということが話題になります。「隣の人が逃げなかったから」「周りが逃げていないのに、自分だけ避難できない」と自分の判断よりも隣の動きを気にして逃げ遅れる現象も指摘されています。このような隣や周りの判断を気にする姿勢は、まわりの顔色を伺う教育の成果ではないかと心配にもなります。
このことは次の事例からも見て取れます。
最近は女子のスラックスOKの学校も増えてきましたが、それが明記されていない制服のある公立小学校で、寒い日に、スラックスをはいて通学した方がいました。制服なしの地域から引っ越してきた転校生だったので、まさか小学生の制服指導が厳しいとは思わず、防寒を優先されたそうです。すると「地域の住民から学校に通報がはいった」そうです。学校に呼び出され、校長先生から「郷に入ったら郷に従ってください」と怒られたそうです。スカートの下にジャージならいいようです。自分の判断より、周りを見なさいという教育そのものですよね。
同じ方向性で、
「流行のものはすべて不可」
という校則もあるそうです。なにが流行かは不明瞭なので、流行っぽいものと感じたら、周りの顔色をみてやめておくよう判断させるようです。
さて、髪の毛の話も出てきたので、髪型校則の事例もいくつかお伝えします。
「三つ編み、お団子は華美なので不可」

かつては、三つ編みにしなさいとか髪をゴムでとめてひとつにまとめなさいと推奨する学校もあったくらいなのですが、編み込み技術が発達した昨今では、かえって不可になってしまっています。
最近の男子髪型で鉄板ともいえる校則は、
「長髪とツーブロック禁止」

ツーブロックは、「さわやかな髪型」として人気があったり、ホテルマンでもおもてなしの一環としておすすめ髪型とされていると言われているのに、禁止とされることが多いので、よく話題になっています。昔の校則だと、男子の髪は耳にかかるものは不可となっていて、その基準からすれば、耳の横を刈り上げるツーブロックはむしろ推奨髪型でもあるのですが、不可になっているのです。つまり、禁止の理由は、昔いわれていた清潔さの問題ではなく、流行のもの、おしゃれと思われるものは不可としていることが推測されます。

長髪も性の多様性が言われる中、なぜ「男子」だけ禁止なのか、今後は検討が必要でしょう。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方