契約においては、契約自由の原則が妥当する(イメージ:写真AC)

はじめに

法律相談の場において、ご相談者から、相談事項に関して、「法律ではどのようになっていますか」と質問されることがあります。もちろん、相談事項について、法律によってどのような内容が定められているのかということが、とても重要であることに疑いはありません。

しかしながら、とりわけ、契約関係のトラブルに関しては、契約書や約款などを読み、契約当事者間の合意がどのようなものになっているのかを確認することが、まずもって重要になってきます。今回は、法律と契約との関係について、ご説明してみたいと思います。

私的自治の原則・契約自由の原則

近代の市民社会においては、個人は、自らの意思に基づいて、自らの権利義務関係・法律関係を形成することができるという、私的自治(意思自治)の原則があると考えられています。

この私的自治(意思自治)の原則は、契約の局面においては、契約当事者の自由な意思によって契約関係が決定されるという、契約自由の原則として立ち現れてきます。この契約自由の原則は、下表のとおりの内容を含むものです。

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契約自由の原則の例外

現実の社会では契約の当事者間に力関係の非対称性が存在する(イメージ:写真AC)

この契約自由の原則には、自由で対等な当事者という前提がありますが、現実の社会としては、例えば、事業者と消費者、使用者と労働者というように、当事者間に力関係の非対称性が存在します。そういった非対称性を是正するなどのために、契約自由の原則の修正が図られ、例外が設けられています。

締結の自由との関係では、水道法15条1項は、「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない」として、水道事業者に対して、原則として、給水契約の申込みに対する承諾の義務、つまり、契約締結の義務を課しています。

相手方選択の自由との関係では、いわゆる男女雇用機会均等法5条は、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」としており、これは、相手方選択の自由の間接的な制約といえます。

内容の自由との関係では、民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」としており、公序良俗に反する内容を定める契約は、無効ということになります。例えば、犯罪行為を委託する契約や、暴利による金銭消費貸借契約などは、公序良俗に反し無効であるといえます。

方式の自由との関係では、民法446条2項は、「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」としています。テレビ番組などで、よく、「契約書がなくても、(原則として)契約は成立する・有効だ」といった趣旨の解説がなされることがあるかと思いますが、当事者間の合意のみで契約が成立する(≒書面は必要でない)ということの例外が、保証契約では定められているといえます。