2015/01/20
C+Bousai vol2
若い世代も巻き込んだ防災活動
人間は災害を忘れる
崔氏の発案により、千歳地区連合自治会が2013年に行った防災アンケートの結果によると、約650世帯から242人の回答を得た中で、南海トラフ地震に備えて懐中電灯を備えている人は168人(69.4%)だったが、家具の転倒や落下対策を講じているのはわずか66人(27.3%)と意外なほど低かった。また、災害時の協力について近所の人たちと話し合っているのはたった6人(2.4%)だった。92%(223人)が阪神淡路大震災を経験し、・全壊、半壊、一部損壊を合わせると76%(183人)の家屋が被害にあったと答えていたにも関わらず、災害対策が進んでいなかったのだ。
「人間は災害を忘れる弱点がある。防災訓練を通して再認識させないといけない」。崔氏は、記憶の風化に危機感を抱いている。
現在は、年に1度の防災訓練に力を注ぐだけでなく、地域の防災マップをつくるためにAEDの場所などを調べている。南海トラフ地震の津波対策として、津波の到達時間を考え、救助にあたる時間を決めるのが今後の課題だという。
にぎやかな子どもの声が響く夕方の千歳公園。千歳復興の礎には「復興した千歳地区に暮らす私たちが、互いに助け合い、協力し合いながら、明るく、快適な暮らしを続けていくことが、震災の教訓を次世代に伝えていくことになると思います」と記されている。阪神・淡路大震災から20年は1つの節目でしかない。「365日防災と叫んでもダメ。生活と防災をいかに結びつけるかが大切」と崔氏は語る。新たな住民を迎え入れ再構築した地域の結びつきを武器に、千歳地区連合自治会の防災の取り組みは続く。
神戸市須磨区
世帯:7万1787世帯
人口:16万4155人
面積:3000ヘクタール
千歳地区
人口:約900人
面積:1丁目〜4丁目で約5ヘクタール
特徴:震災を機に新興住宅に。7割が最近移り住んだ若い世代の街。
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