2018/05/25
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
民間ボランティアも充実。自前で救急車や重機も!
民間ボランティアの方々です。民間ボランティアといっても、イタリアでは食料、避難所運営、ロジスティックについて事前に訓練を行った専門ボランティアの方たちです。その数、現在訓練終了者80万人。
ボランティアに参加する方達は、みんなの憧れの存在ということもあって、様々な世代の方がいるそうです。そして、学生だけではなく会社員も参加しやすい法制度があります。災害時に社員が「ボランティアをするために会社を休みたい」というと、会社はそれを拒めない法制度なのです。ボランティアを拒めない法制度!すごいですね!
さらに、拒めないのは、ボランティアだけではないのです。例えば、災害直後の被災地の公務員の方があらかじめバカンスを予定していたとします。その時は、災害が起こっても、バカンスにそのまま行くことが認められています。
被災現場を見て、それでもなおバカンスに行かれるかどうかはわかりませんが、仮に行かれたとしても誰からも責められないそうです。家族とバカンスに行く事も、かけがえのない重要事項として日頃から認識されているのかもしれませんね!
公務員の業務も、被災地の公務員の方は日常業務を中心に行い、応援に入った他地域の方が災害対応をする役割分担になっているそうです。このあたりは、価値観の違いもあり、すぐに日本に導入という議論にはならないところでしょう。
でも、災害関連死の中には、公務員や自治会の役員といった方の過労死や自死も含まれています。頑張っている人を追い込みすぎないよう、しっかり休み時間を確保してあげるアイデアのひとつとして、意識しておきたいところです。
ところで、民間ボランティアのキッチンカー、テントなどの機材は、国からの支給品もありますが、自前で持っているという民間ボランティア団体も結構あるそうです。例えば、これ。
救急車までも自前!
当然、搬送訓練もされています。
それだけではなく重機まで民間ボランティアが持っていたりします。
宮定氏がお聞きした、とある民間ボランティア団体では、実にキッチンカー4台、ヘリコプター2機、救急車25台を購入し、自動車整備も自前でしているとか!スケールが違いますね。で、国から支給された機材は災害救助時に限定されているけれど、自前のものは自由に活用できるのですって。
日常で救急車の出動もあるし、キッチンカーを使って失業者への炊き出しも行なっています。それだけでなく、ボランティアという崇高な事業が持続可能なものとして継続できるように、結婚式の食事のケータリングサービスもされて収入を得られているということです。
正直なところ、こんなボランティア、とても楽しそう!!憧れの存在だと思われていて、多くの方が競うように積極的に参加される理由がわかる気がします。さて、これは、何でしょう?
これは、さきほどのテントに空気を送った空気入れです。こんな機材も自前。その右側をご覧ください。コンテナがありますよね。
このコンテナたちこそ、素早い物流を可能にしている立役者なのです。物資がダンボールに詰められていると、避難所に届いたとしても、まず濡れないように室内で場所をとって積み上げられ、それから仕分け作業に入ります。
でも、人の少ない避難所では、この荷下ろしや仕分けが大変なために、必要な物資が被災者に届かないという問題も起きています。この点、イタリアではコンテナにすでに必要な物資が入っています。最初に紹介した災害用トイレもコンテナになっていました。それを、ユニックなどでトラックにのせて、そのまま被災地に運ぶだけ。
運んだ先では、コンテナなので、外に置いておくことが可能です。コンテナは仕分けされた倉庫となって、避難所では必要な時に必要なものを取り出せばいいだけになります。これだと迅速に被災者に届きますよね!
コンテナを利用すればいいのにという声は以前から、日本でもでていました。中でも、リスク対策.com主筆の中澤幸介氏も面白いアイデアを語られていました。自治会などが使っている防災倉庫、あれがコンテナになっていて、被災地にそのまま物資として送ることができればいいかもしれないねって。
また、リスク対策.comの過去記事では、コンテナ型の備蓄倉庫が高性能焼却炉になる中国のアイデアも紹介されていました。被災地では物資が足りなくなる一方で、大量の瓦礫が発生します。コンテナ型の高性能焼却炉に必要物資を入れて現地にヘリコプターなどで運び、必要物資を出したら、その場で焼却炉にするというアイデアです。
■急拡大する中国の危機管理市場
http://www.risktaisaku.com/articles/-/149
ということで、イタリアの避難所、いかがでしたでしょうか?ボランティアのあり方も考えさせられますね!
「テルマエ・ロマエ」では、人に優しく機能に満ちた浴場設備をイタリアに伝えたのは日本ということになっていますが、仮設住宅や避難所については、日本がイタリアから学ぶことも多そうです♪
これを機に、仮設住宅と避難所について、災害前から考えてくださる方が増えればいいなと願っています!
※今回の視察は、避難所・避難生活学会が企画しています。
(了)
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