【シドニー時事】オーストラリアで16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決されたことを受け、豪政府は2025年1月から関連業界と共同で年齢認証技術の開発に向けた実験を行う。同年12月前後に見込まれる施行までに有効な年齢確認手段を確立したい考えだ。
 法律が施行されれば、SNS運営企業は16歳未満の子供が接続できないようにする義務を負い、違反した場合に最大4950万豪ドル(約50億円)の罰金が科される。一方、SNSの利用者は16歳以上であることを証明しなければならなくなる。
 年齢認証は、生年月日を根拠にする方法と、顔や手指など生物学的情報を基にする方法の二つの系統に大別される。25年1~3月に行う実験では、無作為に選んだ豪州人1200人に両系統の認証を試してもらい、信頼性と効率性の高い方法を探る。同年6月にも方向性を決める予定だ。
 生年月日の証明では、パスポートや運転免許証といった公的な身分証明書(ID)を活用することが多い。しかし、法案の上院審議で、プライバシー保護の観点から「公的ID情報の提出を強制しない」とする条項が追加された。公的IDを使えなければ信頼度は低下するが、TikTok(ティックトック)など中国系企業を通じて個人情報が中国当局に収集されるリスクを避けることを考慮したとみられる。
 アルバニージー首相は29日の記者会見で「お酒の18歳未満禁止と同じように、完璧な執行ができると言うつもりはない」と述べ、ある程度は利用者の良識に頼って対応せざるを得ないとの認識を示した。 

(ニュース提供元:時事通信社)