今回は昨年の同時期に続いて、世界最大級の保険・再保険ブローカーであるAonが毎年発表している「Climate & Catastrophe Insight」の2024年版を紹介させていただく(注1)。これは前年1年間に発生した自然災害の被害規模や発生状況のトレンドなどをまとめた報告書で、昨年までは「Weather, Climate & Catastrophe Insight」というタイトルだったが、今回から先頭の「Weather」が省かれた。
なお本報告書は下記URLから無償でダウンロードできる。
https://assets.aon.com/-/media/files/aon/reports/2024/climate-and-catastrophe-insights-report.pdf
(PDF 118ページ/約 19.6 MB)
また本報告書の発表に関するプレスリリースの日本語訳が下記リンク先(同社Webサイト)に掲載されている。
https://www.aon.com/japan/news/aon_news_20240205
まず図1は、Executive Summaryのあと最初に掲載されているもので、2023年に発生した主な災害が示されており、円の色がハザードの種類、円の大きさが経済損失の大きさを表している。これらの中で特に目を引くのはトルコ・シリア地震であろう。本報告書によると、2月6日から20日までの間でこの地震による死者が59,272人、経済損失が924億米ドル、保険金支払額が57億米ドルとなっており、2023年に発生した災害の中では死者数と経済損失の両方でトップ、保険金支払額でも2位となっている。
過去の災害に見られる傾向として、先進国における災害では経済損失が大きくなるが死者数が少なく、開発途上国においては死者数が多くなるものの経済損失が少なくなることが多いが、トルコ・シリア地震では両方の数字が大きくなっている。
筆者が図1を見たときにまず感じたのは、外国での気象災害があまり日本で報道されていないということである。普段どのようなメディアをチェックしているかにもよるが、筆者の個人的な印象では、図1に示されているさまざまな気象災害よりも、モロッコの地震の方が日本のメディアでの扱いが大きかったように思う。もちろん多くの日本在住者にとってニーズや関心が高いと思われる情報が選別されて報道された結果であるから、当たり前ではあるのだが、世界での災害発生状況を知るためには、やはりこのような資料に触れる必要があると再認識した。
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