2020/06/04
防災・危機管理ニュース
名古屋工業大学特任研究員の青山友美氏らは、オックスフォード大学が行った「新型コロナウイルス感染症に対する政府対応の評価調査(Oxford COVID-19 Government Response Tracker:OxCGRT)」を応用し、国内の都道府県が実施した施策の内容やタイミングが人の行動にどのような影響を与えたかを可視化する研究に取り組んでいる。
都道府県が実施した人の集中を避ける施策を「学校の閉鎖」「公共イベントの中止」「国内移動制限」など7項目で点数化し、合算して平均値をパーセンテージで示すことで、施策の厳しさを定量把握した。スコアが高いほど、施策の内容も厳しい。
これを、それぞれの施策の発表時点(あるいは施策の期限が切れた時点)で評価し、いつ、どの程度厳しい施策がとられたかを時間軸に沿ってグラフ化する。日々の感染者数や、スマートフォンなどの端末から得られる位置情報を重ね合わせることで、施策の厳しさ(平均値)が感染拡大や人々の行動にどのような影響を与えたかを可視化した。
その結果、東京都では、都の対策が直接都民の行動に影響を与えていること、なかでも3月末の週末の自粛制限が人々の行動に大きく影響している傾向が顕著に表われた。
また、北海道では、2月28日に発出された北海道独自の緊急事態宣言が人の行動と感染防止に効果をもたらしたのに対し、4月以降は施策の厳しさが感染者数の上昇を後追いする波形になっており、道民の自粛疲れが生じていた可能性があることがうかがえる結果となった。
この方法を用いれば、政府や各自治体が感覚ではなく、定量的に自分たちの施策評価が行えるようになる。企業でも、政府や自治体から発せられる施策が人々の行動にどのような影響を与えるかを先読みして対応できるようになることが期待される。
青山氏は「各自治体の良い例を集め教訓として生かすことを目指している。都市や経済圏ごとさまざまなデータを集め、パターン化することで『リーダーシップ型』『対話型』など、施策効果の大まかな分類ができればいい」と話す。
https://www.risktaisaku.com/feature/bcp-lreaders
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