2016/11/25
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
Q3、雪の日に長靴を履いて避難しました。足が冷える気がしたのですが、靴はどうすればよいのでしょう?

上記図で、天然ゴムの熱伝導率は0.13です。羊毛が0.05ですので、同じ厚みのウールのソックスと長靴をはいた状態をくらべると、長靴のほうが冷えてくるということです。
裏起毛の長靴になると、裏起毛することによって空気を蓄えられるようになるので寒さが和らぎます。スノーブーツは空気を効率よくためる工夫をしています。マイナス30℃対応ブーツは、ブーツの中に1cmくらいの断熱材が入っています。

ただの長靴が冷える理由がおわかりいただけたでしょうか?
そして、長靴は蒸れます。その中にコットンの靴下を履いていると汗をかいたときに汗冷えが起こり、しもやけになりやすくなります。長靴しかない状況で雪かきの作業をする際は、コットンの靴下は避けて、ウールのものや、スキー用の化学繊維素材のものを使ったほうがしもやけになりません。
長靴は冷えるからと運動靴をはくなんてことはやめてくださいね!防水素材であればいいですが、そうでなければ、濡れて気化熱が奪われるので、伝導で伝わる冷えよりももっと、体温を奪いますから!

なお、雪道の新雪は滑りにくいですが、溶けて固まる、晴れた夜間に放射冷却現象で凍ると、滑りやすくなります。雪の日の次の日が晴れの場合のほうが、滑りやすくなるので、滑り止めを忘れずに!
避難所になる体育館は窓の多い構造になっています。そうすると、ガラスの熱伝導率は1なので、外から冷気が伝わってきます。古い体育館などになると鉄の扉なんていうのもあります。そうなると、熱伝導率は84。外からの冷気が伝わってしまうと、室内に温度差が生まれ、冷やされた冷気が下降気流となって下降します(コールドドラフト現象)。
そう、室内に風が吹いてしまうのです。だからいくら毛布で空気をためても、寒くなるのです。フリース毛布をすっぽり着込んで体が暖かくても、体育館のような構造内では、防風素材でないため寒くなります。なので、「防風素材のアウターを用意する」または「根本的には体育館の窓をぷちぷちなどの断熱素材で断熱する」のがよいです。
体育館は夏暑く、冬寒くなりやすい構造なので、被災する前に断熱素材をはるなど、準備しておけると本当はよいですよね。

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