■対策本部運営に不可欠な情報アイテム

BCPにおける対策本部の活動の要は、突き詰めれば「情報力」にある。つまり「意思決定に必要な情報をコンスタントに集める」とともに、「事業を取り巻く利害関係者に向けて適切な情報をタイムリーに発信する」という双方向の活動が中心となる。東日本大震災や熊本地震のとき、混乱やパニックに陥った現地の企業が「想定外の事態が起こってうまく動けなかった」と述べている。そうした事態の背景には、情報不足や情報の錯綜、情報伝達の遅れなど、一言で言えば情報の取扱いが後手に回ってしまっことも原因としてあっただろう。

では迅速に情報を収集し、発信する手段として、対策本部はどのようなツールを整えておけばよいのだろうか。一方的に情報を受発信する、双方向でコミュニケートする、全員で共有するなど、チャネルや用途はさまざまだが、身近なものでは次のアイテムが考えられる。

まず、オーソドックスなものとして携帯電話/スマートフォン、ポータブルラジオ。電気やインターネットが使えればノートPCが有力なツールであることは言うまでもない。メールやSNS(フェイスブック、ツイッター)、自社ホームページの更新(復旧状況など)、スカイプなどによる簡易なテレビ会議も期待できる。また、収集した情報を補完的に整理したり、共有するためのアイテムとして、ホワイトボード、付せん、紙、ペンなども必須である。製造業や運輸業などでは自家発電機が倉庫でホコリをかぶっている会社も少なくない。非常時に備えていつでも使えるようにメンテナンスしておきたいものである。

情報ツール以外にも対策本部運営に不可欠な備蓄アイテムはいろいろある。対策本部のスタッフが泊まり込む場合に備えて、仮眠スペースと食料(弁当や非常時備蓄による補完)を確保する、毛布やシュラフ(寝袋)を用意するといったことだが、これらについては別の機会に詳しく述べる。

(了)