猛烈な強さの最強台風19号、従業員に呼びかける対策は?
被災地域では避難準備も
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
2019/10/09
危機管理の要諦
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
千葉県を中心に大きな被害をもたらした台風15号に続き、大型で猛烈な強さに発達した今年最強の台風19号が10月12日からの3連休、日本列島を直撃する可能性が高まっている。政府は8日、各省庁の担当者を集めた関係省庁災害警戒会議を内閣府で開き、台風への備えを呼び掛けた。気象庁によれば、12日(土)の午後から13日(日)の午前にかけて東日本に最接近する可能性が高い。企業は、従業員に対してどのような注意を呼び掛けるべきだろうか? 連休中で出勤には影響しないから何の対策も呼び掛けないという選択肢もあるかもしれないが、従業員が自分と家族の安全を守るために、今からしておくべき対策をまとめてみた。
台風が来ることが確実になった時点で対策を開始すればいいと考えている人もいるかもしれない。しかし、その時点ではすでに間に合わないことも多い。例えば水や食料、乾電池など生活物資の買い出し。日常的に備蓄しておくことが望ましいが、台風15号などでの経験もあり、今回は、災害の直前に買い占めに走る人が多いことが予測される。確実に台風が来るかどうか分からなくても、備蓄量に不安があるのであれば、数日前の時点で購入しておいたほうがいい。ガソリンなど車両燃料も同じで、台風の接近直前、あるいは被害が出た後では入手できなくなる可能性が大きい。
先日の台風15号により大きな被害を受けた被災地で考えるべきことは、まず、自分の命をしっかり守るということ。被災した家でもそこに居たい気持ちは分かるが、台風が接近する中で、すでに屋根が大きく被災しているような家で過ごすことは危険だ。今のうちから避難所の場所を確認したり、非常用持ち出し袋の中身を見直すなど、避難所や安全な場所にある身内の家などに移れる準備をしておくことが大切だ。大雨が降りだしてからの移動は困難なため、早めの行動が求められる。
避難などで家を空ける際には、あらかじめブレーカーを切ってから出ていく(台風15号でも通電火災があったが、停電になる可能性が高いため)。すでにブルーシートで覆ってある家も、ブルーシートが吹き飛ばされる可能性もあるので、濡れて困る家電などはビニールで覆っておいた方がいい。
もちろん、行政は避難所を早めに開設する必要がある。その際、台風15号では、体育館で窓が割れたり、壁が剥がれ落ちる被害もあったため、避難所となる施設では、窓が割れない対策を施す必要がある。また、台風15号では、被害状況の確認に時間を要したため、防災無線のチェックをはじめ、改めて被害状況の確認の方法なども今の段階から確認しておくことが重要だ。都道府県などが主体となって、市町村やライフライン業者、関係機関らとの事前対策協議会を開き、被害後の対応を再確認するような取り組みがあってもいい。台風の特徴は、来るタイミングが分かることである。被災地に限らず自治体は、ぎりぎりになって避難情報を出すのではなく、数日前から避難所を開設しておくぐらいの対策をしてほしい。
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