-
安心、それが最大の敵だ
「緑のダム」の歴史的考察~その3:森林の水源涵養力は迷信?~
森林の水源地涵養機能(緑のダム)に関する専門家や研究会などの見解を確認しておきたい。「緑のダム」を学術的に研究してきた学者や研究者は、自己の研究対象を「緑のダム」とのあいまいで情緒的な言葉で表現することを好まなかった。林学界の長老・四手井綱英(しでい・つなひで)氏の論は明快である。(以下肩書は図書・論文発表時)。氏は森林生態学者で、京都大学名誉教授。「里山」の提唱者で知られる。「森の人 四手井綱英の九十年」(森まゆみ)から引用する。
2017/05/29
-
安心、それが最大の敵だ
「緑のダム」の歴史的考察~その2:明治期から今日まで~
日本最初の近代的河川法は1896年(明治29年)4月に制定された。近代化を急ぐ明治政府はインフラ整備の一環として洪水防御を重視した。法律は河川管理者を原則として都道府県とし、必要に応じて国が大規模事業を実施する体制を定めている。相次ぐ大水害の防御に重点をおいたもので、以後国内の河川改修は治水優先をうたった河川法のもとで実施された。翌年制定された森林法、砂防法と合わせ「治水三法」と呼ばれる。
2017/05/22
-
安心、それが最大の敵だ
「緑のダム」の歴史的考察~その1:江戸期~
「緑のダム」(森林の水源涵養機能)に関する肯定論、否定論、疑問視論などが出され論じられて久しい。そこで今回から数回にわたり、江戸期から近現代までの日本の治山・治水思想とその実践について考えてみたい。それは森林が洪水防御に役立つのかとの大問題とリンクする。
2017/05/15