被災地に向けて出発するキャンピングカー。全国から応援に来ている自治体職員の宿泊施設にする(提供:トイファクトリー)

キャンピングカー製造販売のトイファクトリー(岐阜県可児市、藤井昭文社長)は1月10日~11日、能登半島地震で被災した石川県珠洲市にキャンピングカー3台とトレーラー1台を輸送した。日本RV協会が実施する支援活動の一環。会員企業から数十台のキャンピングカーを集めて「RVパーク村」をつくり、全国から応援に来ている自治体職員の宿泊拠点にする。

電源や水まわり、就寝スペースを備え、移動ができるキャンピングカーは、災害時の迅速な立ち上がりに寄与できるとしてさまざまな用途が期待されている。東日本大震災や熊本地震の際も、休憩・宿泊、会議、医療支援などに各所で利用された。同協議会は積極的に防災フェアへ出展するなど、日頃からユーザーの意識向上に努めている。

今回トイファクトリーが送ったキャンピングカーは大人4人が泊まれるタイプ。太陽光発電とサブバッテリーで自立的に電源を確保し、水は1回の給水で13リットルを貯めて使う。暖房は車用FFヒーターを搭載。車体の断熱性を高めているため「わずかなエネルギーで内部をあたためられる」(同社広報部)という。

全国からキャンピングカーやトレーラーが結集(提供:トイファクトリー)

同社はキャンピングカーの派遣に先立ち、独自の物資支援も実施した。発災直後、顧客から『御社で取りまとめて被災地に送ってほしい』と要望されたのがきっかけ。6日~9日にホームページやSNSで広く協力を呼びかけると、顧客や関係者、周辺住民らが即座に反応。「自分の車いっぱいに物資を積んで駆けつけてくれた方もいた」(同)という。

独自の物資支援も実施。ホームページやSNSで協力を呼びかけた(提供:トイファクトリー)

集まった物資は飲料水を中心にトイレットペーパー、マスク、食品など、10人乗りワゴン車満載で3台分。被災自治体に連絡し、8日に先行隊を送って現地の状況を確認、受入先のマッチングを行い各所のニーズに合わせて物資を選り分けると、11日に被災地に入って七尾市、金沢市、子どもの食事支援組織などに届けた。

届いた物資は10乗りワゴン車満載で3台分に(提供:トイファクトリー)

同社は「災害に対するお客様の意識の高さを感じた。個人ではできることが限られ、歯がゆい思いをしている方も多くいる。そうした思いを会社として受け止め、被災地に届けられたことはよかった」(同)といい、今後も現地の状況やニーズを見ながらできる支援を行っていく。