福祉・介護事業所のBCPと非常災害対策計画、避難確保計画は重なる部分が多い(イメージ:写真AC)

先日、福祉・介護事業所向けの物品販売サイト『スマート介護』を運営するプラス株式会社の社内カンパニー、ジョインテックスカンパニーで「BCP作成のツボ」と題してオンライン講演会を実施した。効果を上げるために事前打ち合わせし、わかりやすくお悩みに答えることに焦点をあてた。そこで、講演会の前に、介護事業所がBCP作成にあたって何に困っているかを聞いていただいた。

福祉BCPはなぜ必要か

最も多いお悩みごとは、BCPの全体に関することであった。

・BCP策定について具体的内容を知りたい
・BCP作成するにあたり何から作成したらよいか困っている
・どのように作成をしたらいいのか、何を盛り込めばいいのかが、ざっくりしすぎてわからない
・計画を立てるためのポイント

このようなお悩みごとを持つ事業者は、そもそもBCPとは何かがよくわからない、何をどの程度まで準備すればよいのかわからない、という印象をもった。

そこで、少していねいに説明することにした。まず、BCPはなぜ必要か。それは危機により資源に制約が発生して重要な業務ができなくなるからである。介護事業所の重要業務といえば、利用者への福祉サービスである。

きっかけとなる危機は災害、感染症のほかにも、テロ、戦争、不祥事、利用者減、職員の退職など、何であってもかまわない。日常の重要な業務に制約が生じたときである。

人の制約についていえば、業務をする人数が足りなくなったなど量の問題と、その業務をするのに不可欠な人がいないなど質の問題がある。人数が足りないのであれば、いる人数でできる重要な業務に絞る、同業者に応援を頼む、大きな同業者に利用者を移す、などの対策がある。

また、判断する人がいなければ、明示的に代行順位を定める、その場にいる最上位者が判断することに決めておく、手順書を作成して誰であってもここまではやってよいことにする、などがある。看護師など専門職がいなければ、代替者の派遣を依頼する、経験者に電話して来てもらう、などが考えられる。

BCPが必要なのは、危機により資源に制約が発生して重要業務ができなくなるため(イメージ:写真AC)

インフラについては、停電すれば、暗くなって業務ができない、エレベータが使えない、冷暖房が使えない、トイレが流せない、調理ができない、など大きな制約があることがわかる。そのために、停電しても重要業務ができるよう、代替の電源を準備する、電気がなくても業務ができるように代替品を備蓄しておく、などが考えられる。